さてさて、今日から3人で走る。ここからウルムチまでは100kmくらい。普段だったら一日の距離だけれど、風も強いし三人なのでどうなるかわからない。まあ、途中で野宿になってもそれはそれで良いかな。
牛肉麺を食べてから出発。
今日も強風。トルファンからカシュガルへの道の風がヤバイとは聞いていたけれど、ウルムチ方面も相当なものだ。昨日の時点で1000mまで標高を上げたが、この先もまだ少し登るはずだから大変だ。
自転車旅行を始めてまだ一週間で不慣れなユキさんはさぞ辛かろうと思う。
↓途中、塩湖が見えた
自転車に乗る者にとって向かい風は本当に腹立たしい。登り道で辛いのはまだ諦めがつくけれど、下り坂なのに必死に漕いで10km/hしか出せなかったりするともう自転車を放り出してしまいたくなる。
昼になってもなかなか距離は稼げず。店も当分無さそうだったので、高速の橋の下にもぐりこんで昼食。ここも風が吹き抜けてあまり落ち着かないが、それ以外に風除けも無いので仕方が無い。
こうなったらもうピクニック気分になるしかないと、二人がわざわざ火を起こして春雨スープを作ってくれた。気温も低め(朝なんか20℃程度だった)ので温かいスープがありがたい。
この風だと今日中にウルムチに着くのは無理そうだ。どこかでキャンプするか、途中の小さな町に宿でもあれば良いのだが。しかしまあ、3人であれば野宿も心強い。
↓雲を見るとなぜか風向きとは違う方向に流されていく。地表付近と上空で風向きが違うらしい。納得いかない。
午後も辛い走行。2、3kmごとに休憩する。この風の中、一人で黙々と走っていたら大変だったろう。カーソンはジョージは大丈夫だっただろうか?
19時頃になって小さな村に着いた。ケイさんの提案で今夜は農家の庭先でキャンプさせてもらおうということになった。今までも二人は何度かそうしてきたらしい。
国道から外れて集落の中に入っていく。泊めてもらえそうな人を見極めて、怪しげな男二人が行くより女性のほうが印象が良かろうとユキさんを先頭にして突撃。反日の人に当たるとまずいので、シンガポールから来たと言う設定でケイさんが交渉する。
でも、一度は良いところまで行ったものの、結局この日は泊めてくれる家を見つけることが出来なかった。初めてのことに自分もドキドキではあったが、すこし残念だ。
仕方ないので、この先に有ると地元の人から聞いた宿を目指す。鉄道駅の近くに店と数件の宿があるところで宿探し。1ベッド20元のところがあったのでそこに決める。
老夫婦がやっている宿で、数年前にもフランス人の旅行者が泊まったらしい。そのフランス人が置いていったという登山に使うようなステッキを宿のおじいさんは大事にとっておいていて、我々にも見せてくれた。そのときの出会いが、おじいさんにとって初めての外国人との出会いだったのかもしれない。おじいさんは歌うように抑揚をつけて語ってくれた。活字の無かった時代に、人々はこうして物語を語り継いでいったのかなと、ふと思った。
ケイさんとユキさんは小さなプリンターを持ち歩いていて、撮った写真をその場でプリントして色々な人にプレゼントしているそうだ。今日もこの老夫婦の写真を撮ってプレゼント。これってなかなか素敵なやり方だなと思う。
荷物を置いてから夕食。おじいさんがオススメの店まで案内してくれた。その周りを、宿の三匹の犬が付いて歩く。この犬たちにとっておじいさんはご主人様なのだろう。
連れて行ってくれた店の人たちも良かった。家族がみんな出てきて賑やか。我々が食べているあいだも、おじいさんは自分の食事を済ませたりしてずっと待っていてくれて、しかも食事代も出してくれた。写真のお礼ということだろうか。自分はケイさんとユキさん二人にくっついていただけのような状態だけれど、でもおじいさんがここまで喜んでくれたというのが嬉しい。
最後には撮影大会。店のオヤジさんの兄弟(?)もいつの間にか参加。
明日の朝に写真をプリントして渡すと約束し、宿に戻る。宿のおばあさんは、おじいさんの帰りが遅いのを心配して外に出てきていた。ああ、遅くまでつき合わせて不安にさせてしまったか……。
今日は走行は辛かったけれども、とても良い思い出が出来た。
あまり綺麗とは言えないベッドでシャワーも無い宿だけど、ここに泊まってよかったと思う。
【走行データ】
走行距離:49km
総走行距離:5536km
一人旅も良し。連れがあるのもまたよし。ですね。
まだ8月なので、風も楽しんで。寒いとか、凍える!はないでしょう。
ちゃんと食べて、休んで、長旅完走して下さい。 <クマ>
そうですね。
一人旅は自分の意思だけでできるけど、旅先で連れが出来るかどうかは自分の意思だけではどうにもならないので、折角のこの展開を大事にしたいと思います。