気持ちの良い朝。7時だとまだ日が昇っておらず肌寒い。
気温が上がってくるまでテントの中でぬくぬくとしながら過ごす。
コンロでお湯を沸かし、朝から暖かい麺を食べる。それとカロリーメイトのような携帯食料。
これは手の平に乗るサイズで非常にコンパクトだけれど2000kcal近くあるので、商店が少なくて食料を持ち歩かなくてはならないときには嵩張らなくて便利だ。値段も安い(これは2.5元)。
日が出てくるとテントの中は温室状態になって暑い。汗だくになって荷造りをする。
今日は結局、せっかくだからと温泉まで行ってみることになった。
出発してまもなく、農業用水が井戸から出ていたので水浴び。水は冷たいけれど気持ちが良い。ついでに着ていたTシャツもかるく濯いだ。
濡れたTシャツをそのまま着ても、走っているとすぐに乾いてしまう。この乾燥と日差しは相変わらず強烈だ。
途中、また刈り取りの終わった麦畑があって、羊が放牧されていた。ここでキャンプも気持ち良さそうだ。
温泉までの距離は30km程度だけれど、出発が遅かったし休憩しながらのんびり進んでいたのでなんだかんだ時間がかかる。今日中にサリム湖に付くのは無理そうだったので、いっそのこと温泉で早めに宿に入ってしまおうということになった。
午後のまだ早い時間に温泉のすぐ手前まで着いたが、入り口の橋が工事中で通れない。どうやら数km戻って大きく迂回しなければならないらしい。
確かに手前の分岐点で工事中の看板は立っていたけれど「通行止め」とは書いていなかったと思う。おいおい、頼みますよ……。
迂回路のせいで無駄に急な坂を上らされたりしてなんとか温泉にたどり着く。温泉の街はやはり観光地として開発されているようだけど、それほど賑わっていると言う雰囲気でもない。まあ辺境の地だしな。
最初に見つけた賓館が100元で外国人OKだったのでさっさとそこに決めてしまう。手続きのためにパスポートを預けて、その間に洗濯と遅めの昼食。
コマゴマとしたことを済ませて、暗くなってから夕食に出る。宿を出るときに「パスポートまだ?」と聞いてみたが、まだ終わってないらしい。仕方ないのでそのまま外出。
それにしてもこの宿の人はやたら低姿勢で、とても申し訳無さそうに謝ってくれた。こんなの中国では初めてだ。
店を探して歩いていると近くに公安のバンが止まった。なんか嫌な予感がするなーと思っていると案の定声をかけられた。見た目で外国人とわかってしまったらしいが、よりによってこのタイミングか。
パスポートは宿にあることを説明して、公安の車に乗せられて宿へ引き返す。
面倒臭いなと思いながらバンに乗り込んだらびっくり。迷彩服を着てアサルトライフルをもった兵士(人民軍なのか武装警察なのか)が数人乗っていた。
なんでこんなマイナーな町のパトロールがここまで重武装なんだ。ウイグル自治区内とはいえ比較的安定してそうな地域だっただけに、これは意外だった。国境警備ならともかく、これは国内の自国民を監視するパトロールだものな。普通じゃない。
しかし、その場の雰囲気自体はピリピリしたものではなく、フレンドリーとさえいえるものだった。でもこっそりと写真を撮ったら見られていたらしく、その場でデータは消去させられてしまったが。
宿の人と公安の職員で色々手続きしている間に再び夕食に出たが、面倒臭くなってカップラーメンで済ますことになってしまった。
これはこれで面白い経験ではあったけど、写真が残せなかったのが悔しいな。
【走行データ】
走行距離:49km
総走行距離:6349km