深夜1:30、テントの周りを歩く足音で目が覚める。キャンプ中の、しかも夜中の人の気配ほど嫌な物は無い。はっきり言って恐怖である。もし相手が悪巧みをして近づいてきたのなら逃げようが無い。
そうこうしてるとテントのフライシートをノック(というのも変だけれど)された。わざわざノックするのだから襲おうと思ってやってきたのでは無さそうだ。諦めてテントのファスナーを開ける。
そこに居たのはなんとなく胡乱な目つきをしたおっさんで、どうやら酔っ払いであるらしかった。言葉が通じないにしても、ジェスチャーでもあまりにも話しが通じない。仕舞には酒は無いかと聞いてきた。お前にやる酒なんか無い、と思いながら無いと答えると、水をくれと言い出した。刺激したくなかったので素直に1.5lのペットボトルを渡すと1/3くらいを一気に飲み干す。
その後も何度か酒は無いかと聞かれ、次第に腹が立ってきた。何なんだこいつは。最初はここがこの人の土地なのかもと思って神妙にしていたが、どうやらそうでもないらしい。
恐らくは10分くらいはやりとりして、そのおっさんは帰っていった。とりあえずはホッとしつつも、イライラとしたまま再び眠りにつく。
翌朝、景色だけは気持ちの良い朝。道路からは見えない場所だし、一体あのおっさんはどこからやってきたのだろうか。
昨夜の腹立ちが収まらないまま出発の準備をしていると、おっさん再訪。ぬけぬけとやってきては、昨日途中まで飲んだボトルの水を飲み干して「ありがとう」と言ってきた。もう話したくも無かったので、うんざりした気持ちで準備を追えさっさと出発する。
冷静になって考えてみたのだが、昨日の「30テンゲくれ」と言ってきたおじさんに対して感じた違和感と、今朝のおっさんに対して感じた苛立ちはある意味同じものだった。それは“よくそんな恥ずかしい真似ができるな”ということ。自分が住む土地にやってきた旅行者に対して物乞いをしたり酔っ払ってからんだり、自分ならそんな恥ずかしい行為は絶対にしたくないと思う。
走り出してすぐにガソリンスタンドがあったので調理用のガソリンを補充。0.8L位で200テンゲ。
野焼きの跡。やはり昨日は進んで無くて正解だったかも。
出発から7000km
昼頃に平坦な直線区間になり、向かい風が強くなってきた。遮るものが何も無い中を10km/h程度で進む。そんな道が40km以上も続くとさすがに飽き飽きしてくる。
疲れたらお菓子をかじる
カザフに入ってカラスを良く見るようになった
夕方になってもだだっ広い草原が続き、野宿できそうな場所がなかなか現れない。
陽が沈み始めた頃になってようやく小高い山の麓にたどり着き、近くにあった貯水池でキャンプ。
燃えるような夕焼け。今日は単調な風景と強い向かい風で予想以上に疲れたが、これが見れただけで良い一日だったと思える。
夕食はこのスパゲッティの切れ端のようなもの。茹で時間が短くて済むのでスープ等に入れると簡単に美味しく、ボリュームたっぷりの食事になる。
と思っているとまたしても近くで人の話し声が聞こえる。しかし特に危険な雰囲気は無く、そのうちにどこかへいってしまった。
これ以上何もありませんように、と思いながら就寝。
【今日のビール】
EFES。トルコのビールでしたっけね。
【走行データ】
走行距離:86km
総走行距離:7072km