朝食をとってから、フロントのブレーキシューを交換。7000km以上走って初の交換となる。まだもう少しもちそうだったが、これから峠越えがあるので念のため。
因みに使用してるブレーキシューはBBBのトライストップ・ハイパフォーマンスというカートリッジシュー。これはなかなか優秀な気がする。PanasonicのOJC1の純正ブレーキは恐らくテクトロ製の評判の悪いカンチブレーキだが、このシューを使えば空荷であればジャックナイフだってできる。もちろんVブレーキほどの制動力は無いが、ツーリング車で使う分には十分な性能だ。
出発は9時半ごろ。ここからタラスという町までの間でどの程度補給できるかわからないので、食料は多めに持っていく。
本来ならば、カザフスタンへ入るにはここから西へ向かえばすぐに国境なのだが、折角キルギスに来たのだから山を見てみたいと思い、今日から少し南下して山脈を越える。途中3000m超の峠を2つ越えてからマイナーな越境地点でカザフスタン入りするつもり。
↓スタート時の標高
ビシュケク―オシュ間を結ぶ道に入ると登りが始まった。序盤は緩やかな勾配でジワジワと標高を上げていく。
この行程で予想以上に時間がかかり、山のふもとにたどり着いたのは昼過ぎだった。久しぶりの走行だからか、昨日の疲れが残っているようでイマイチペースが上がらない。
川沿いを行く道。9月末にしてしっかりと雪をかぶっている山があるので、川の水量は豊か。水も綺麗だ。
朝方は涼しかったが、登り始めると暑い。ただ風向きが追い風なのでいくらか楽ではある。
と思っていたらいきなり向かい風になった。上空は西風が吹いているようで、南北に走る険しい谷間は風が複雑に吹いているようだ。
地道に標高を上げていると、向こうから頻繁に家畜の群れが降りてくる。果たして山の上に放牧地があるのか、それとも峠を越えてきたのか。
午後も半ばになったがいまだに標高は1500m程度。当初は今日中に3000m以上ある峠を越えるつもりだったが、これでは到底越えられそうにない。せめて2000m程度までは登っておきたいと思っていたところ、路肩に停めた車からおじさんが手招きしている。
何だろう、何かくれるのかなと思って近づくと、サムサをくれた。おじさん3人組は遅めの昼食を取っているらしく、すでにウォッカも飲んでいる。こちらにも勧めてきてはじめは断ったのだが、「少しだけだから!」という言葉に負けてしまった。
それにしても昼間からウォッカを飲んで峠道を運転するんだから、キルギスのドライバーは信用できない。
しかし飲酒運転は自転車も同じ。彼らのことを悪く言う資格は無いなと、開き直って楽しむ。サムサのほかにもサラミやパンもくれた。
おじさんたちが自転車に大量に積んだ水を見て、川を指差しながら「キルギスの水は飲めるのに、なんでこんなに水を積んでいるんだ!」と言っていた。確かに、沢の水を探せば補給は出来るかもしれない。
おじさんたちと別れてまた坂を登り始めるが、もうやる気がなくなってしまった。結局ウォッカを3杯も飲まされて、走る気なんて起きるわけがない。もうやめだ、やめだ。16時も過ぎたし、さっさと野宿場所を探してしまおう。
↓絶賛崩壊中の斜面。時々ガラガラと石が落ちてきて、とてもじゃないがこの辺でキャンプする気にはならない。
しかし狭い谷なのであまり良い場所が無い。時々、沢が本流に流れ込んでいるので、その沢沿いに道から外れればなんとかキャンプできそうだ。
2本目の沢でキャンプが出来そうな場所があった。沢の上流に家畜小屋があったが、今は使ってないようだったので問題ないだろう。
沢で顔と手足を洗ってから夕食を作る。さっきもらったサムサのおかげであまりお腹はすいていない。今日は野菜スープだけで十分だろう。
しかしここでトラブル発生。ガソリンストーブ(MSRのドラゴンフライ)が故障してしまった。着火してから燃料タンクの追加加圧をしたら、ポンプの抵抗がスコッと無くなり、加圧できなくなってしまった。
とりあえず今は火がついているので、今日はこのままにしておいて明日の朝食を作り終えてからポンプの様子を見てみよう。
もし完全に壊れてしまったのなら困ったことになった。火が使えないとなるとキャンプが難しくなってくる。特にこれからの時期、食事で暖を取れないのは致命的だ。
21時ごろになって雨が降り始めた。しかも強風が吹き始めたので、急いで外に出てテントの張り綱を張る。これをしないとポールが曲がってしまうかもしれない。
気楽にキャンプし始めたのに、なんだか不安要素満載になってしまった。今日は結局1700mまで。明日は色々大変な一日になりそうだ。
【走行データ】
走行距離:48km
総走行距離:7359km
ウォッカで暖を取る案。
がんばれー。
その案を採用します。