夜のあいだずっと雨が降っていて、朝になってもスッキリしない天気。朝食にインスタントラーメンを食べていたら霧が出てきた。
寒いし、今にも雨が降り出しそうな雰囲気だったから出発したくなかったけれど、もう食料も無いので仕方なく準備。出発は10時半。今日はもうタラスまで走れば良いや。
霧雨で視界が悪く景色はまったく見えない。走ると体中がびっしょりと濡れてとても寒い。すぐにレインウェアーを着込むが、グローブだけは防水では無いので手が非常に冷たい。30分で手の感覚が無くなった。
タラスまでは50km程度だから、身体を温めるためにもペースを上げて漕いでさっさと宿に入ってしまおう。写真を撮る気力も無く(そもそも撮る景色も見えないのだが)、黙々と漕ぐ。
途中の村で子供に石を投げつけられた気がした。はっきりと確認したわけではないが、特に意識せずに子供たちのそばを通り過ぎたときに、そのうちの一人が何かを拾うような動作をしていて、そのあとに自転車の近くでカツッと何かが落ちる音がした。
誰だったかは忘れたが、西からやってきたサイクリストがトルコでよく子供に石を投げつけられたと言っていたが……。
この辺の子供はよく手を振ってくれたり「ハロー」と言ってくれたりして嬉しいのだが、小学生くらいだといたずらっぽい感じの子もいて「この悪ガキが!」と思うことはたまにある。
そんなこともありつつ、あまり楽しくない走行が続く。
昼過ぎにタラスの町に到着。まずは何か温かいものが食べたかったのでレストランへ。“Гуляш”(グルシュ?)というもの、130ソム。
温かいチャイが嬉しい。
レストランのおばちゃんに宿があるか聞いたが場所がわからなかったので、道行くおじいさんに再び聞いてみたらすぐに見つかった。
宿に入って値段を聞いてみると600ソム。トイレ・シャワーつきで綺麗な部屋。ネットは無いが自転車を持ち込めるのですぐに決めてしまった。考えてみたら600ソムて約1200円だからあまり安くはないが、この町に他の宿があるかは怪しいところだったのでまあ良いだろう。中国と比べるとカザフ・キルギスは宿の数が少なく、しかも値段が高めの印象。中国は外国人宿泊制限さえなければ宿は良かったな。大概どこもネットがあったし。
お湯が出るのは18時かららしいので、シャワーを浴びる前に泥だらけの防水バッグと自転車を洗う。そのあとに洗濯。
いったん宿に戻って荷物を置いてから夕食へ出るが、どこの店も閉まっている。土曜だからか?
仕方ないので昼と同じ店へ行く。飲食店に関しても、中国と比べると数が少ない。メニューのレパートリーも少ない。
そうはいってもまだまだ試していないメニューがあるので、とりあえず適当に頼んでみる。ПелменとОромо с карт。ビールがあるか聞いたら「近くの商店で買ってきて」ということだったので自己調達。でも、店にビールは無いのにジョッキだけは出してくれた。
Пелменがスープに水餃子のようなものが入ったもので、Оромо с карт(オロモ)は餃子のような生地にジャガイモとタマネギを入れて蒸したもの。どちらも美味しいけれど、まあこんなものかという感想でもある。感動するほどの美味しさでは無い。でもこのさきカザフで飽きるほど食べることになるのだろう。決して嫌いではないのだけれど。
店のおばちゃんにホテルは見つかったか聞かれて、見つかったと答えたらグッジョブと親指を立てられた。食事そのものよりもこういうやり取りが楽しかったりもする。
宿に戻ってからシャワーを浴びる。なんだかんだで5日間シャワーを浴びていなかった。温かいシャワーってなんて素晴らしいのだろう。
さあ、明日はカザフスタンのタラズ(似ているがタラスではない)という町を目指す。しかし100km以上はありそうで途中に国境越えもあるからどうなることやら。
はたして今日がキルギス最後の夜なのだろうか。
【走行データ】
走行距離:46km
総走行距離:7564km