昨日の夜は少し雲が出てきて心配だったが、朝起きたら快晴。そのためか放射冷却で結構冷え込んで、標高を下げたのに気温は5℃。テントの内側に結露した水滴が凍っていた。
↓朝食に食べたロシアのチョコ「アリョンカ」味のクッキー
テントを乾かしたりしつつゆっくりと準備。シムケントはもうすぐ近くなので急ぐ必要は無い。
自転車に荷物を積んでいると近所のおじさんがやってきて少し会話。いつもどおりどこから来てどこまで行ってという話をしたのだが、出発間際に200テンゲを渡された。現金を受け取るのはやはり少し抵抗があったのではじめは断ったのだが、「良いから受け取っておきなさい」という感じで向こうも譲らなかったのでありがたく頂く。「これでサムサでも食べるよ」とジェスチャーすると笑いながらウンウンと頷いていた。
丘陵地帯が続き、100mくらいのアップダウンの繰り返し。日差しがあるので登ると暑いが、気温自体はあまり高くなく下りは汗が冷えて寒い。
出発が遅かったのですぐに昼食。目に付いた店に入ってラグマンを注文。ナンも一緒に出てきて、モチモチとしていて美味しかった。
食べていると店の人がやってきて、「代金は要らないから」と言ってくれた。「いやいやそうは行かないよ」とお金を払おうと思ったが「いいからいいから」と親指をグッと立てて行ってしまった。こういうことを何でもないようにサラッと出来てしまうのがカッコいい。
今日は凄い日だなと思いながらナンも全てたいらげる。
ここの店の人はみんなフレンドリーな雰囲気でよかった。お礼を言って出発。
↓右のウズベク系っぽい顔立ちの男性が「親指をグッ」の人
シムケントの町に近づくと住宅地が続いていて、まるで日本のようなところもあった。丘陵地帯とアップダウンの組み合わせから神奈川の第三京浜沿線を思い出した。ローカルな例えで申し訳ない。
トイレ休憩の時に話しかけられた2人組み。若い男が人目につかない木立で話しをしているというシチュエーションなので少し警戒していたが、特に問題はなかった。ボクシングをやってるとかで瞼を腫らした男性は、日本からここまで7000kmくらい走ってきたと言うと「やるね!」と親指を立ててくれた。一緒に写真を撮ってがっしりと握手。
そのトイレ休憩から出発しようとすると車からおじさんが降りてきて、「何か食べな」と今度は1000テンゲを渡された。1000テンゲも!?
凄い、今日は今のところ収支がプラスである。黒字である。
ここまで来るとなんだか少し後ろめたい気持ちになってくる。確かに貧乏旅行者ではあるけれど、そこまで切り詰めた極貧状態では無いよ。
なぜここの人たちはこういう優しい行いや施しがスッとできるのだろう。いや、逆になぜ自分にはできないのだろう。例えば日本で逆の立場だったときに同じことができるかと言うと、あまり自信は無い。別にその出費が惜しいわけでは全くなく、なにか別の理由でそういうことが自然にはできないのだ。なんとなく気恥ずかしかったり、言葉が通じないことで何か失敗したりしないかと恐れている。でもここの人たちはそんなことまったく意に介さないようだ。
シムケントの町には15時ごろに到着。ここも大きな町で宿探しに苦労しそうだったが、今回はガイドブックの情報がある。まずは「シルクロード」に載っていたオルダバスというホテルにいってみる。ここは2006年の情報でシングルが2000テンゲとなっていて、さすがに値上がりはしてるだろうけど一応値段を聞いてみた。そうしたらまさかの7000テンゲ! 値上がりしすぎだろう。
話にならないのですぐに第2候補のホテルへ。ここはガイドブックで1500テンゲで、昨年のネットの情報でも2000テンゲだったので希望が持てる。
実際に行ってみると値段はやはりシングルが2000テンゲ。部屋は若干下水臭いが、お湯のシャワーがついていて自転車も持ち込める。ネットは勿論無いが(カザフではこの辺はもう諦めている)、周囲には店が多く便利そう。そして受付のおばちゃんもなかなか良い人で、なにかと(パスポートを見せるだけで)ハラショーと親指を立ててくれる。
物価高のカザフでこのコストパフォーマンスの高い宿は貴重な存在では無いだろうか。
荷物を置いて洗濯を済ませてから夕食へ。すぐ近くの安食堂に入ってみる。ボルシチとレバーの炒め物と薄い揚げパンのようなもの。
この繁盛して無さそうな、観光客なんてまず来ないであろう雰囲気がなかなか良い。まあ自分もまたこようとは思わないけれど。
さて、折角良い宿が見つかったのでここで2,3泊しようと思う。気候のことを考えると寒くなる前にできるだけ進んでおきたいところだが、あまり早くアクタウに着いたとしてもアゼル・ビザの関係でそこで足止めを食らうことになる。なのでここでブログとかを少しでも進めて、スッキリした状態で走り出そう。
【走行データ】
走行距離:50km
総走行距離:7881km
みんな優しいね。
お金をあげる、受け取るという習慣が無いから確かに戸惑うけど、7000kgも走ってきた人を目の前にしたらやっぱり私達も感嘆や応援する気持ちを表したくなるんじゃないかな。
その時に多分自分たちの価値観の中で一番役に立ちそうな物を差し出すのじゃないかしら。
なるほど。
ありていに言えば「価値観や生活習慣の違い」が、表現方法の違いになるのも当然のことか。
考えてみれば当たり前でも、実際にそれを目の当たりにすると戸惑うものだ。
まあそれが面白いのだけれど。
なにはともあれ、そういう経験を自分自身の変化に繋げられたらと思うね。