10/20 クズロルダ→ジャラガシュ(Жалагаш) (89km) ―ジュードー・マスターに泊めてもらう―

まだ天気はスッキリしないが、どうにか雨は降っていない。これ以上ここにとどまるわけにも行かないので出発する。

クズロルダはそこそこ大きめの町。

s-IMGP9835

大き目の町とは言っても、少し走ればすぐに荒野に出るのだが。
 
 
 
カザフでよく走っている客車はカザフスタンカラーに塗装されている。

s-IMGP9842
 
 
 
豊かな水量の川を渡る。この川がアラル海に注ぐのであろうか。

s-IMGP9848
 
 
 
川の周囲は湿地帯になっていて、ここにはカモメのような鳥がいた。

s-IMGP9849
 
 
 
今日も道中にはほとんど町が無いので適当に道端に停めて昼食をとっていたら、小型のトラックに乗るおじさんが話しかけてきた。こちらがアクタウに向かっていると話すと、そのおじさんもこれからアクタウに行くと言っている。「乗ってくか?」みたいに聞かれて一瞬心が動くが、いやいやもう少し頑張ってみよう。そう思って断ると、「でも雨が降りそうだよ?」と言ってくる。やめてくれ、決心が揺らぐ。

s-IMGP9851

そのおじさんと別れて、この写真を撮って少ししたら雨が降り出した。大粒の雨で、しかも強風を伴っている。早くも「乗せてもらえばよかった」と後悔。
 
 
 
しかしもちろん今更どうしようもないので、レインウェアーを着込んで進み始める。横殴りの雨、強風、それでもスピードを緩めない車の風に煽られてよろめきながら路肩に落ちるとぬかるんだ地面にハンドルを取られる。 誰にもぶつけられない怒りがふつふつとわいてくる。

気温があまり低くないのは助かったものの(それでも10℃強)、降り止む気配の無い空模様にウンザリしつつひたすらペダルを漕ぐ。

こういう時は本当にテンションが落ちてくる。こんな辛い思いをしてまで見る価値のある風景だろうか? 300km手前の景色とも1000km先の景色とも変わらなさそうな単調な風景の中、「もう列車を使ってしまおうか」と考えながら走る。
 
 
 
そんな状況が2~3時間続き、ろくに休憩も取れないまま進んだ。16時近くになってようやく雨が弱まってきた。

s-IMGP9853
 
 
 
しかし今度は風が一層強まってきた。風向きはいつの間にか西風になり、正面から吹き付ける。ギアを一番軽くして走る。

s-IMGP9856
 
 
 
夕方になってジャラガシュという町に到着。ここは宿がありそうな規模の街だったので、今日はここでストップだ。いつまた雨が降り出すかわからない状況で、強風の、しかもペグが効き難そうなぬかるんだ荒野でキャンプするほどの根性は私にはありませんよ。

町の入り口で地図を確認していると車に乗った青年に話しかけられた。彼にこの町にホテルはあるかと聞くと、ホテルのある場所まで車で案内してくれた。

しかしそのホテルの値段を聞いてみたら5000テンゲと高かったので別の宿を探そうと思っていると、その青年が「家に来なよ」と言ってくれた。今日はもうクタクタだったので本来ならば宿に入って誰にも気兼ね無くゆっくりしたかったのだが、でもたまには良いかと思って彼の言葉に甘えることにした。

彼の名はラマザン、25歳。父親と妹、それに奥さんのセディナさんとその子供と一緒に住んでいる。ラマザンは柔道の選手で、アジア各地で開催されている大会で何度も入賞しているそうだ。今は柔道教室の講師として働いているらしい。また彼の叔父さんも有名な人らしく、スポーツ雑誌の表紙に載った写真を見せてくれた。

なかなか面白い人物と出会ったな。
 
 
 
着替えを済ませてから夕食を頂く。メインはスープ。

↓馬のバターだそうだ。溶かしてナンにつけて食べる。
s-IMGP9866

s-IMGP9867

s-IMGP9864
 
 
 
食後はラマザンが柔道仲間に紹介したいというので出かける。疲れていたので休みたかったが、泊めてもらうのだからこういうのも仕方ない。言ってみればこれは接待だ。

近所のレストラン兼クラブのようなところの一室に集まった仲間に紹介された。皆、十代後半でラマザンの教え子だそうだ。

シャシリクを少しだけ頂いた後は、店を出る前にみんなホールに出て踊りだす。酒も飲んでないのに良くここまでと感心するほど陽気だ。

s-IMGP9874

s-IMGP9890

動画で撮ればよかったと後悔。
 
 
 
その後にラマザンが柔道を教えている体育館に案内された。

s-IMGP9915
 
 
 
体育館前の広場にある記念碑。キルギスのレニンスコエにあったものと同様、第2次大戦の際にこの街から出兵した人たちの名前が刻まれている。

s-IMGP9919

s-IMGP9921
 
 
 
家に戻ってからは日本の写真を見せてあげたりしてから0時過ぎに就寝。

色々と疲れた一日だったが、これはこれでなかなか楽しい。暖かい寝床と貴重な経験を与えてくれたラマザンとその家族に感謝だ。
 
 
 
【走行データ】
走行距離:89km
総走行距離:8456km

カテゴリー: カザフスタン(Kazakhstan) タグ: , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です