朝起きて外を見るといくらか回復してるようだったが、出発間際になってまた雨が降り出す。レインウェアを着込んだりしてたら出発は9時半。
走り出してからも雨は降ったりやんだり。しかし1時間ほど走ると完全に止んだ。
路面の水の跳ね返りがあるのでレインウェアは来たまま走るが、それだとだんだんと汗をかいてくる。しかし気温が高いわけでは無いのでその汗がすぐに冷えて、暑いんだか寒いんだかわからない状態で走り続ける。
今までと違って人家が途切れずに延々と続く道を走り、昼頃に小さな町に到着。もうグルジア走行も残りわずかだし、この辺の名物料理のアチャルリ・ハチャプリを食べたいと思ってレストランを探したのだが、なんとなく入りやすいレストランを見つけ損ねてそのまま町を通り過ぎてしまった。
しかたなく町外れの長距離ドライバー向けのレストランでスープとパン。10ラリもしてしまった。
そういえばキルギスのレニンスコエにも牛柄の馬がいたな。
午後に黒海に出る。上海を出て以来、6ヶ月ぶりの海だ(カスピ海はカウントせず)。
思えば遠くに来たものだ……。
しかし感慨に浸っている暇は無い。今日はバトゥーミまで行くつもりで、そこまではまだまだ距離がある。幸い、夕方になって追い風になってきたので疲れた身体に鞭打ってペダルを回す。
海岸まで山が迫ってきているのでずっと平らな道とは行かず、小さな峠を二つ越える必要があった。1日の走行終盤には地味にきつい登り。
バトゥーミに到着したのは日没後の18時。普段なら明るいうちに宿なりキャンプ地なりを決めてしまうが、今日は事前に調べておいた宿があるのでそこへ向かう。
しかしその宿がはっきりと看板を出していないのか、暗くなった街中では発見できずにしばらくフラフラとさまよう。その様子を見て近くにいたおじさんが「ホテルを探してるの?」と聞いてきた。近所の人らしく、調べておいた名前を伝えるとすぐ近くにあったそのホステルまで案内してくれた。助かった!
ホステルに入ると宿のおばちゃんが出てきて部屋に案内してくれる。英語はあまり通じないけど、この人もフレンドリーで好印象。ドミトリーも綺麗で、Wifi・ホットシャワー付きで15ラリ。
他の客は、このあとイランへ行くというウクライナ人の若い男性1人。
荷物を置いたらとりあえず夕食。昼間食べられなかったアチャルリ・ハチャプリを食べに行く。
アチャルリ・ハチャプリって何ぞや?
↓
船型のパンの中にチーズと生卵とバターが入っているもの。「ハチャプリ」というのはグルジアのチーズ入りパンのことで、「アチャルリ」は“アチャラ自治共和国の”という意味らしい。アチャラ自治共和国とはバトゥーミを含むこの辺一帯の地域のこと。(余談だが、安定しているここアチャラ自治共和国の他に、グルジアには南オセチアやアブハジアといった分離独立問題や民族問題を多く抱えている)
それにしても生卵を食べる国が日本以外にもあったとは。
肝心の味の方は、月並みな表現だが「外はカリッ、中はモチモチ」のパンにチーズ・卵・バターが絡んでとても美味しい。しかしこれ、思ったよりもボリュームがあって後半はしんどくなってくる。特に自分にはチーズが多すぎな気がして、かなり胃もたれしそうだ。本当ならこのハチャプリを1皿と、他にサラダでも頼んで2人くらいで分けて食べるのが丁度良いかもしれない。
宿に帰る前に街をぶらぶら。
商店によってビールと干し柿を買ってみた。日本にいるときは干し柿なんてあまり食べなかったのでよしあしがわからないが、これはこれで美味しい。
ポーター。ちゃんと力強い味。
それにしても、レストランのおばちゃんも商店のおばちゃんもこちらが笑顔を向ければしっかりと笑顔を返してくれた。宿に案内してくれたおじさんも優しかったし、バトゥーミは意外に良い街かもしれない。
まあ明日には国境越えちゃうんですけども。
【走行データ】
走行距離:119km
総走行距離:9910km