12/8 山間でキャンプ→Tamdere (42km)

目が覚めたら既に明るかった。

寝坊だ。

時計を見ると7時。出発しようと思っていた時間だ。いつもなら朝食用のお湯を沸かしながら徐々に意識をはっきりさせていくのだが、今日はその間に着替えたりテントのフライシートを乾かしたりと急ピッチで準備を進める。

出発は9時ごろ。これだけ急いでも起床から出発まで2時間はかかってしまうのか。

それにしてもこの寝坊は痛い。ますます今日中に峠を越えられるかが怪しくなってきた。

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昨日の昇り始めは緩やかな坂が多かったが、今日は斜度がきつくなってきた。

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集落がポツポツとある。山のてっぺんに家があることも多く、なぜあんな不便そうな場所に住むのかがわからない。というかこの人たちはどうやって生計を立てているのだろう。家畜や農地はあまり見かけないし、林業や川魚の養殖ということも無いようだ。霞を食って生きているというわけでもなかろうに。

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途中に商店があったので、飲み物と昼食用のお菓子を購入。

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山間にある集落にもちゃんとモスク(トルコでは「ジャーミィ」)があって、祈りの時間になると谷にアザーンが響き渡る。そんなアザーンを聞きながら昼食。
 
 
 
標高1000m程まで上ると山の斜面に沿ってアップダウンを繰り返す道になる。やめてくれ、下らないでくれ。このころから時々突風が吹くようになる。谷に吹く風は複雑で向かい風だったり追い風だったり、ころころと風向きを変える。
 
 
 
狭い谷に入ると完全に向かい風になり、しかも風速も凶悪になってきた。ベルヌーイの定理(あら、懐かしい響き)かなにかで谷が狭まると風速が早まるのだろうか。とにかくこの風は、たとえ平地であってもまっすぐ走れ無さそうなくらい強い。それにくわえて斜度のきつい登りだから堪える。

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えっちらおっちらとペダルを漕いでいると、車が止まってドライバーが「乗せてあげようか?」と言ってきた。実はそんな事が今日はこれで三回目。皆、「急な坂だよ」とか「雪があるよ」とか「めちゃくちゃ寒いよ」と言っていて、しかも今回のこの人はわざわざ英語を話せる人に電話をかけて通訳をしてもらいながら、僕に車に乗るようにと説得してくる。

これは峠の頂上はよっぽどの状況なのかと思ったが、結局断ってしまった。この風もあるし、車に乗ってしまいたいとかなり心が動いたのだが、もう少し頑張ってみようと決める。もしこの後「4人目」が現れたら、そのときは素直に車を使おう。頂上まではまだ距離があるし、しばらく様子を見てからでも遅くは無いだろう。
 
 
 
「4人目」ではないが、対向車のドライバーが「写真を撮れ!」と言ってきたのでパシャリ。代わりにリンゴをひとつもらった。

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15時まで走ったところでテントを張れそうな場所を見つけた。川沿いで丈の低い草が生えた平地で、増水の危険も落石の危険も無さそうだ。道路からは丸見えだが、まあこんな山奥で車もあまり通らないし問題ないだろう。この時点で標高はまだ1500mで、日没まであと1時間。峠は2200mなので今日中の峠越えは諦めてここでキャンプすることにする。

峠がどういう状況かわからないが、それはまた明日考えよう。とりあえず時間の余裕を持って行ける所まで行ってみて、その時にヒッチハイクするかどうか判断しても遅くないだろう。

食料と水もまだあるので、今夜は気持ちの良いキャンプ地で落ち着いて夜を越せる、そう思いながらテントを張っていると、車が近くにやってきておじさんが話しかけてきた。今度はその人が「夜は寒いからこんなところでキャンプしないで、1km先に家(宿?)があるからそこへ行きな」としきりに勧めてくる(といってもジェスチャーなので正確なところはわからない)。もうテントも半ば張ってしまっているし気温も問題無さそうだから「放っておいて欲しいなぁ……」なんて思いながらも、そのおじさんもなかなか折れないので諦めて移動することにする。またテントをたたむのは面倒臭いけど、屋根があるのは実際ありがたいからね。

そのおじさんが車に乗り込んで「先に行ってて」とジェスチャーしたので、後から来て案内してくれるのかと思いきや、それっきり一向に現れない。

強烈な向かい風の上り坂を1km進み、2km進み、3km進んだところに村があった。「1kmどころか、それの3倍の距離じゃないか!」と疲れているので細かいことにイライラしつつ(しかし坂なのでそれでも30分はかかる。ドライバーとサイクリストでは1kmの重みが全然違うので、ドライバーが言う「あと何kmだよ」という類の台詞はあまり鵜呑みにしないほうが良い)、さっきのおじさんを少し待ってみたが現れる気配が無い。

仕方ないので明かりがついていたチャイ屋に入ってこの村に宿があるか聞いてみた。そうしたらそこにいた男性が、村の中にある別のチャイ屋へ連れて行ってくれた。そこの2階が宿泊施設になっているらしい。シャワーは無いがもともとキャンプのつもりだったので、雨風をしのげて寝られれば何の問題も無い。値段を聞いたら30リラで、値切ったら20リラになった。

「10リラも下がったヤッター」と思ったが、よくよく考えたら20リラって高いな。大きな町のトラブゾンでもネットつきの部屋が20リラだったのに。最初のチャイ屋でも「一人20リラ」というようなことを言っていたような気がするのでこれが正規の値段なのかもしれないが、でもぼったくられている気もしないでもない。
 
 
 
暖房が無く寒いのでキャンプのときと同じように着込んで過ごす。テントを乾かし、夕食を作り、諸機器のバッテリーを充電。

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チャイ屋の主人は夜になると帰ってしまい、他に人のいない建物は静まり返っている。外では相変わらずの強風。明日の天気はどうなることやら。

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【走行データ】
走行距離:42km
総走行距離:10337km
 

カテゴリー: トルコ(Turkey) タグ: , , パーマリンク

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