この宿は一応朝食が付いているが、値段なりというか、まあ言ってしまうと結構しょぼい。パン、オリーブ、ゆで卵。それでもパンは美味しかったけれど。
出発は9時前。宿の前で荷物を積んでいたらおじさんに話しかけられた。昔船員だったとかで英語が少し出来るおじさん。そんなに長く話したわけではないが、一度立ち去ってからまたふらっと現れてミカンをくれた。しかも袋一杯。わざわざ買いに行ってくれたらしく、朝からトルコの人の優しさにやられてしまいました。
シェビンカラヒサルの町は標高1400m程。今日のルートは一度800m以下まで落ち、そこからまた上り始めて2000mの峠へ向かう。今日中に峠を越えるのは無理そうだが、今日のうちに出来るだけ標高を稼いでおきたいところ。
しかしこの800mまで下る道もトータルでは標高を下げるものの、途中にいくつもアップダウンがある。丘陵地帯、というか山岳地帯で、100~300m程度のアップダウンを繰り返す。疲れのせいかペダルを漕ぐ足に力が入らず、上りになるとガクンと速度が落ちる。また下りは下りで斜度が急であっと言う間に下りきってしまい、なかなか距離が稼げない。
景色は綺麗。これで晴れていれば文句は無いのだが。
野宿し放題。
途中で農家に飼われている番犬に追いかけられた。普段ならスピードを上げてさっさと走り去ってしまうのだが、今回は上りだったせいもあり速度が出なくて逃げられない。なので逆に立ち止まって牽制しつつ、少しずつ進んでテリトリーを抜けた。
奴等はなぜか自転車で走っていると執拗に追いかけてくるが、歩いているだけだと特に反応しなかったりする。
自転車のスタンド兼犬対策にと太い木の棒を荷物の隙間に差して走っているが、この感じだとそれを使うことは無いかもしれない。そもそも自転車に乗りながら木の棒を抜き出す事は出来ないし、ヘタにそれを振り回して相手の闘志に火をつけるのも怖い。あいつらもいきなり噛み付いてくる事はあまり無いようだから、牽制しつつその場を走り去ってしまえば問題無さそうだ。といっても牙を見せて本気で吼えてくる犬に進路を塞がれたりすると結構恐ろしいものですが。
ダム湖があり、魚の養殖をしているようだった。
ルートを下りきったところで幹線道路と合流する。このまま川を下ればイスタンブール方面だが、自分はカッパドキアへ寄り道。
舗装は一瞬だけ良かったものの、すぐにまたガタガタの道に戻る。
色々とマークが書かれているが、下段の左から2番目にモスクのマークが。恐らく礼拝施設を備えているということだろう。
「モスク」はよく「イスラム寺院」などと呼ばれるが、日本における寺社とは意味合いが異なる。モスクはあくまで礼拝を行うための施設であって、礼拝に必要なものが揃っていて清潔な場所であれば、どこでも良いらしい。だからその土地自体に特別性がなくともモスクは立てられるようだ。それがGSであっても何の問題もないのだろう。もし日本でガソリンスタンドの敷地内にドトールと寺が隣り合って存在したらかなり違和感があると思うが。
峠の登りになる手前の町で買い物。商店が2軒並んでいて、片方でビールを、片方でコーラを購入。ビールを買ったほうの店のおばちゃんはアゼルバイジャン人らしく、「バクーから来たよ!」と言うと喜んでくれてガムをオマケでくれた。コーラを買ったほうの店のおじさんはチャイをご馳走してくれた。このチャイはただの紅茶ではなくて、なにかドライフルーツのようなものが入っていて、フルーティーな味と香りだった。おじさんのジェスチャーから察するにこのチャイには「身体が温まる」か「活力が出てくる」効果があるそうだ。
町を出てから少し走ると幹線道路から分岐して狭い谷を登って行く道になる。
道の斜度は緩やかだが、左右の山の斜面は急で岩だらけ。キャンプできる場所が少なさそうだ。
さっきのおばちゃんにもらったガムがゴムの味しかしない。こういうものなの?
もうすぐで日没というころに小さな谷があって、道から見えない場所があったのでここでキャンプ。狭い谷なのであまり清清しいキャンプ地というわけではないが、まあ静かだし風も防げそうだ。
↓テント内を赤裸々に公開
夜になって一瞬だけ雨がぱらついたが、その10分後には満天の星空。でもまたすぐに雲が出てきて、不安定な天気だ。とりあえず今のところ大きく崩れる事は無さそうだが、明日の峠越えのときは良い天気であることを願う。
【走行データ】
走行距離:66km
総走行距離:10440km