夜中に物音がする。携帯電話のバイブレーションのような音が、短く、連続して聞こえていて、それが近づいているように感じる。人が来たのかと思って息を殺して様子をうかがっていたが、そのうちに音は消えた。
何の音だったのかはよくわからないが再び眠りにつく。
しかしそれからしばらくして、今度はテントを圧迫されるような感じがして驚いて声を上げて目を覚ます。その後はテントの周囲から「スサッ、スサッ」という足音のようなものがずっと続く。人か野生動物でもいるのだろうか。
外の様子を確認すべきか、それともこのまま中で様子をうかがっているべきか決められないままじっとしていたら、次第に音が聞こえなくなった。しばらくは緊張していたが、そのうちに眠気が押し寄せて眠ってしまった。
朝、スマートフォンのアラームで目を覚ます。外は特にかわった様子は無いが、時々強い風が吹いてテントが傾く。昨夜のあれはただの風だったのだろうか。最初の物音の原因はわからないが、そのときの恐怖心が残っていたので次に聞こえた音が人によるものに思えたのかもしれない。
いずれにせよ、久しぶりに少し怖い夜だった。
天気は曇りだが、すぐに雨が降り出しそうな様子は無い。そして追い風となる東風が吹いている。よしよし、良いぞ。
今日は60kmほど先にあるスィヴァスという町まで走って宿を取るつもり。この風に乗って昼頃につければ、今日は半休だ。
8時過ぎに出発するが、よく耕された農地のなかを道路まで自転車を押している間にタイヤにびっしりと土がついてしまった。アゼルバイジャンでもこんなことがあったが、これがタイヤと泥除けの隙間に詰まってしまいタイヤが動かなくなってしまう。この土を落としていたら、結局走り出したのは8時半だった。
アップダウンの続く道。気温は低いが、登りになるとやはり汗をかく。
「半休、半休」と心の中で繰り返しながら黙々と漕ぐ。
途中から雲行きが怪しくなってくるが、何とか持ちこたえる。
町の手前で小さな峠を越えて、予定通り12時半頃にスィヴァスに到着。まずは街に入ってすぐにあったロカンタで昼食。ラフマジュンというピザのようなもので、チリが効いていて少し辛い。味はまあまあ、4リラと安かったが、生地が薄くボリュームは少ない。
適当に宿を探し、バザールの近くのごちゃっとしたエリアにある宿にチェックイン。トイレ・シャワー付き、Wifi有りで30リラ。それほど綺麗でもないが、まあ悪くない。しかし4階にあるので荷物を運ぶのが大変だ。
着替えて少し落ち着いてから町を散歩。
後半はほとんどビールのことしか頭に無く、酒を置いている店を探して街を徘徊。
無事にビールを手に入れて宿で夕食。
デザートに買ったシロップ漬けのお菓子は、噛むと中からジュワッとシロップが染み出てきて美味しい。シロップは意外とサラサラしていて、味もあまり重たくない。
カッパドキアまではもう残り300kmを切ったはず。とりあえずここから2日かけてカイセリという町まで行き、そこで一旦休息をとり、その後にカッパドキアへ向かう。雪が残ってなければ良いけど。
【今日のビール】
似たようなパッケージでいくつか種類のあるEFES。実際のとこ味の違いはどうなのよ? という疑問にお答えして飲み比べ。
まずノーマルEFES。とくにこれといった特徴は無い、アッサリ系(ドライ系?)の味。
そして写真右側のEFES。こちらはさらにアッサリ、というかライトな味。これを飲んだ後に再びノーマルを飲むと、逆に多少はビールっぽい味が感じられる。
どちらもアルコール度数は5%だが、ノーマルの方が多少アルコールっぽさを感じる。
【走行データ】
走行距離:62km
総走行距離:10564km