この宿は朝食を出していないが、近くにロカンタがある。食事代は別途必要だったが、定番のレンズ豆のスープが3リラと安かったので問題ない。いつも食べているインスタントヌードルだって2袋も食べればそれくらいのコストになりそうだ。
店は6時ごろから開いているらしく、客もそこそこ入っていた(カメラを忘れたので写真は無し)。
出発は9時前ごろ。最近はどうも出発が遅くなってよくない。しかしなにしろ寒くて動く気にならないのだ。
町を出るとしばらくは狭い谷が続く。日陰は真っ白に凍っている。キャンプ適地もなさそうだし、昨日は町に引き返して正解だった。
走行風を受けると腕時計の気温計が氷点下を示すが、緩やかな登りで身体を動かしているせいか、耐えられない寒さではない。昨日買ったイヤーウォーマーも調子が良い。足元も黒海沿岸でライダーのヒサオさんと再会したときにもらった防寒ソックスのおかげでなんとかなっている。
午前中はひたすら登りだが、斜度が緩いのでそれほどの負荷は無く、昨日のアップダウンの繰り返しに比べればはるかに楽。
今日は風も穏やかで、じっとしてれば日差しが暖かい。坂が急になると汗もかくが、下りで体が冷えるようなことも無いので、服装の調整は楽だ。
商店もGSも現れないまま峠に差し掛かる。斜度が急になって200mほど登る。これを過ぎれば、小さな峠はあるもののイスタンブールまで概ね下り道のはずだ。
高原を過ぎると狭い谷に入る。標高も下がって植生が変わってきた。
峠から下りてからしばらくは店が無く、14時ごろになってやっと小さな町のGS併設のロカンタで昼食。
恐らく羊の内臓系の肉が入った白いスープで、酸味がある。5リラ。
食後のチャイを飲み終わってから代金を支払って外に出ようとすると、ロカンタの店主とその息子に呼び止められて、再びチャイを飲みながらしばし会話。
息子の方が「もし俺が同じこと(自転車旅)をやろうとしたら、親父に殴られるよ」と言っていて(半分はジェスチャー)、「あぁ、そういうものかもな」と思った。仕事を辞めて実家に舞い戻ってまでやっている、こんな酔狂を認めてくれる家族を持った事は、確かに幸運と言って良いのだろう。
町を出ると再び狭い谷に入る。もう日没が近く、しばらくは谷の斜面沿いの道が続きそうでキャンプ適地がなかなか無さそうに思えたが、道路から谷側にせり出した平らな土地があって車からも見えない場所だったので、ここにテントを張る。見晴らしも悪くないし、良い場所が見つかった。
峠を越える前はあんなに寒かったのに、ここまでくるとかなり暖かい。ただ、やはり山の北側斜面の日陰になる部分は水溜りも凍っていたので、夜はそれなりに冷え込むかもしれないな。