朝になると風はある程度弱まっていた。よしよし。
猫がいた。周囲にあるのは別荘だけと思っていたが、人が住んでいる家も近くにあるのかも。
朝食を食べて準備をし、9時半に出発。スタート直後に小さな峠。
昨日から走っている道は下の地図上でE65という道で、中央の★マークのあたりでキャンプした。ここは地図で分かるように本土と細長いパグ島にはさまれた長い入り江。
峠を越えると町がある。ここで商店に寄って水とジュースだけ買う。野菜も切らしているが、ここからもまた登りなのでそれはこの先の町で買うことにする。
昼食を仕入れようとパン屋を探すが見つからず、そのまま町を出てしまった。この先50km以上はマトモに買出しが出来なさそうなので、昼食は手持ちの食料で適当に済ませる。最近はあまり良い昼食を食べてないから、そろそろ美味しいものが食べたいところだ。
200m程まで一気に登ってからしばらくは海沿いの高台を行く。
岩だらけの土地で農業には向かないだろうに、それでもポツポツと集落がある。はたしてどうやって暮らしているのだろう。
まるで砂漠地帯のようなパグ島。
最近良く見る蜘蛛の巣のようなもの。松の木に大量にくっついていて、他の種類の木には付いていない。なんだろうこれ?
登ったり下ったりしながらも、最終的に400m弱まで登る。ここは吹きさらしなので風の影響を心配していたが、幸いこの時はほとんど吹いていなかった。昨日もそうだったが、ひょっとしたら昼過ぎから夕方にかけては風がやむのかも。
海岸に向けて下り始めるとまた風が強くなってきた。進行方向を変えるにつれて風向きもコロコロと変わるが、50km/hで下っていても体感的に無風状態になる時がある。それだけ強い風が吹いているのだろう。
海岸に出てから少し走ると小さな町に着いた。ここでキャンプに備えて買出しをしようと思ったが、地図に載っていたスーパーが見つからない。探せば小さな商店はあるかもしれないが、面倒臭いので10km先の町まで行って買出しをすることに。
次の町まで行く途中の海沿いにキャンプできそうな公園があったが、買出しが済んでいないので仕方なく先に進む。結果的に言うと、このキャンプ地を逃したのは失敗だった。さっきの町で買出しを済ませ、ここでキャンプをしてしまうべきだった。
日没が迫っているので先を急ぐ。時刻は17時過ぎ、日没は18時前。町についてから買出しをしていたら日が沈んでしまうかもしれない。こういうときに限って向かい風だったり登りが多かったりする。
海沿いを走っているときのアップダウンというのは憤りを覚えるものである。すぐそこに海という水平面があるのにわざわざ地形に沿って登らなければいけないという不条理感。これが時間に追われているときだとなお腹立たしい。
Senjという町に着いて買出しを済ませると案の定日没間近になってしまった。
先を急がなければならないが、この町には海岸にキャンプ場があるので念のため行ってみる。しかしやはりオフシーズンのため営業していない。自転車だったら中には入れるのでキャンプしてしまうことも出来るが、海沿いの遊歩道は地元の人の散歩道になってるらしく人通りが結構ある。これだけ人目があるなかでキャンプするのは抵抗があるので、近くのGSでキャンプさせてもらえないか見てみることに。しかしそこも小さなGSでテントを張れるような雰囲気ではない。この頃には太陽は沈んで暗くなり始めてきた。
仕方ないので少しだけ進んで海岸の様子を見てみるが、ここもやはり住民の散歩ルートになっている。もう開き直ってキャンプしてしまおうかとも思ったが、これだとトイレに行くのも気を使うような状況なので、この場所は最終手段としてもう少し他を探す。
いったん街に戻って宿がないか探してみるが、どこも営業していない。結局町の入り口まで戻って、教会の隣にある公園でキャンプすることにする。ここは夕方の時点で人がいたのでスルーしたのだが、今は人が来そうな気配は無い。朝になると人が来るかもしれないが、もう真っ暗になってしまったので諦めてテントを張る。近くに犬の糞があって若干臭いが、もうどうにでもなれ。
「人が来るかもしれない」という不安を抱えながらのキャンプは全く面白くなく、ただの精神の消耗以外の何物でもないが、それでも夕食を食べて酒を飲んでしまえばこっちのものである。実際危険は無さそうだし、もう細かいことは気にしないようにしよう。
ああ、今日はもう疲れてしまった。明日は本当は早めにRijekaという町に着いて観光をするつもりだったが、思いのほか距離が伸びなくてまだ70kmはありそう。……もういいや、のんびり走ろう。たどり着けさえすればそれで良いや。
【走行データ】
走行距離:93km
総走行距離:14048km