パンとハムの朝食。イタリアに入ってから袋入りのインスタントラーメンを見かけないので、これからはパンが増えそう。しかし午前中の走行に必要なエネルギーを摂るにはパンは向かないな。ガッツリと食べるにはパサパサして喉ばかり渇くし、身体も温まらない。キャンプのときは何か別のメニューを考えよう。
昨日は何もせずに寝てしまったので、朝になってからこの先のルートや宿の情報を調べる。安宿が少ないヨーロッパでは事前の情報収集は重要だが、これが結構面倒臭い。
そんなことをしていたら出発は11時。とりあえずこの先はMantovaという町を経由して北イタリアを横断して、ジェノヴァのあたりで海に出る予定。
日本から履いてきた靴もあちこち剥がれてきて穴が開いている。旅の終わりまでもつかな?
今日は良い追い風が吹いていて快調に進める。運河沿いの道で、雰囲気の良い街がポツポツとある。
Padovaという町まで一気に走る。この町はバイパスを使ってスルーしても良かったのだが、折角だから街中を走ってみる。
中心地にあったSt.Antonio聖堂。規模も大きいが、デザインも他とは違う独特の雰囲気。街の建物の間からこの聖堂が見えたときは思わず「おぉ!」と声を上げてしまった。ガイドブックによると、ここはイタリアでも重要な巡礼地の一つだそうだ。
今日は出発が遅かった分、できるだけ走っておきたかったが、やはり中が気になったので見学していくことにした。残念ながら内部の写真は撮れなかったが、実に見ごたえのある造り。詳しくないので言葉では全く説明できないのがもどかしい。
しかし、気まぐれながらここは入ってみてよかった。
聖堂を出た時にはもう14時頃だったのでそろそろ昼食にしたかったのだが、適当な店が見つからず、郊外に行ってもスーパーがなかなか無い。スーパーの看板はあるのだが、そこまでの距離が書いていないので、頑張って進むべきか諦めて手持ちの食料で済ませてしまうべきか悩みつつ15時まで走っていたらようやく辿り着いた。
ここで昼食用にピザを買い、キャンプに備えて食料も補充。
ワインも買ってみた。これは375mlの瓶だが、そのまま運ぶと重いのでミネラルウォーターのペットボトルに詰め替える。
午後もしばらくは運河沿いの道。近くには低い山地(というか丘?)がある。ここは不思議な地形で、イタリア北部の山脈に繋がるわけでもなく、平地にポツンと孤立した山地。
本来のルートはこの山地を迂回するように走っているが、小さな町を過ぎたところで道を外れて山地の中を通ってみる。別にわざわざ寄り道するような所でもないかもしれないが、ちょっと興味があったし大した遠回りになるわけでもない。それにこういうところこそ自転車旅でないと行けなさそうだし。
「里山」といった雰囲気の場所。結局やはり特に何があるわけでもなかったが、平地ばかり走っていても面白くないので別に良いのだ。
山地を抜けるとEsteという町にでる。ここは有名な観光地なのかどうかは知らないが、結構立派な城がある。旧市街の雰囲気も良さそうだ。しかし日没が迫ってきているので先を急ぐ。
町を出てしばらく走ったところで林があった。周囲には建物も多いが、民家ではないので夜になれば人が来る事はなさそう。地面に積もった落ち葉の下は昨日の雨のせいで濡れていてちょっと不快だが(テントの結露が酷くなりそうだし、ナメクジも多そう)、この辺だと林以外に選択肢は無く、それなら他の林も状況は同じだろうからもうここに決めてしまう。
夕食はさっきスーパーで買った生のスパゲッティを使ったスープ。やはり乾麺とは食感が違って、よりモチモチしてる感じ。スパゲッティというよりは太麺のラーメンを食べてるようだ。味は悪くない。
買ってみたワインはほんの少し甘味があってフルーティー。香りも良い。でもまあ好みで言えば甘くないほうが好きなのだが。
夕食を終えて用を足すために外に出ると少し霧が出ている。やはり湿度が高いようだ。
木の表面に何か黒い斑点が無数にあるなと思ってよく見たら、それは全部ナメクジだった。しかもその木だけでなく他の木も同じ状況。あぁ……、嫌なものを見てしまった……。明日のテント撤収の時にグランドシートの裏を見るのが今から恐ろしい。
林ごと焼き払ってしまいたい衝動に駆られたが、嫌な事は忘れてさっさと寝てしまおう。
【走行データ】
走行距離:80km
総走行距離:14464km