暖かい朝。6時過ぎに起きると、フランコさんはもう既に出発していた。早いなぁ。
朝食はインスタントリゾット。これは2人前のパックなのでボリュームがあっていいのだが、食器にこびりついてしまうので洗うのが大変。キャンプ場のように水場があるところでないと食べる気にならないな。
食後に出発の準備をしていると昨日の猫がテントの中に入ってきて勝手に寝だした。
リアタイヤのサイドウォールのリムと接するところが裂けている。まだ完全には穴は空いていないが、そこだけ内圧でポコッと膨らんでしまっている。最近走っているとリアタイヤからの違和感を感じていたが、これが原因だったのだ。
これは早めにタイヤ交換してしまったほうが良さそうだ。一応予備タイヤも持ってはいるが、それはシュワルベでは無い。イタリア・フランスなら恐らくシュワルベのタイヤが手に入るだろうから、走っているときに自転車屋を見かけたらそこで探してみることにしよう。
出発してすぐに自転車屋があったので聞いてみるが、そこではシュワルベは置いてなかった。その直後からすぐに登りに苦しめられる。
振り返ってみるとイタリアは不完全燃焼な感じで終わってしまった。ヴェネチアもジェノヴァもあまり観光しなかったし、もっと色々と美味しいものを食べてみたかったが、ここは貧乏一人旅ではあまり楽しみきれない所だった。
しかしそれに関してはフランスも同様であろうと危惧しているところである。
国境からすぐのところにフランス最初の町がある。ここもリゾートの雰囲気がプンプンしていて落ち着かないので足早に通過。
50m~100mのアップダウンに苦しめられながら進むとすぐにモナコが見えてくる。遠くから見るとそこだけ高層建築が密集して建っている。
ミニ国家のモナコは海沿いの斜面に広がった街で、中心地の港周辺まで下りてしまうと再びメインルートに復帰するのが大変そうではあったが、しかし折角なので寄ってみることに。
モナコは金持ちが集まっていそうなイメージなので豪邸ばかり並んでいるのだろうと思っていたら、中心地以外は割りと普通のマンションもあったりする。モナコで働く人たちのためのものかもしれない。まあそれでも家賃は高そうだが。
走る車は高級車もそこそこ多いが、大衆車も普通に多く走っている。日産マーチを見たときには心が和んだ。
個人的にはF1にはあまり興味が無くて、どちらかというとWRCのモンテカルロ・ラリーの方が心躍るが、特にそれに関する事物は発見できず。
なんとなく雰囲気は味わったのでさっさと通過する。予想通り一度海岸まで下りてしまうと再び登らなくてはならなくて大変。モナコに興味のない人は出来るだけ標高を落とさないようなルート選択をオススメする。
国境はどこだろうと思いながら走っていたが、気付かないうちに通過していた。モナコ内の走行距離は10kmにも満たないだろう。
そしていつのまにか総走行距離15000km突破。
モナコから少し走ったところにある町のスーパーで昼食を買う。イタリアとの商品の変化はそれほどなさそうだが、どれも少し高い。これがフランスの価格なのか、それともただのリゾート地価格なのか。
海沿いの公園のベンチに座って昼食。
ドライブしている若いカップル、楽しそうに話す学生達、近くから聞こえるテニスを楽しむ人たちの声。どいつもこいつも浮かれやがって、と心の中で悪態をつきながらパンをかじる。根暗な人間なのでリゾートの浮ついた空気というものはどうしても好きになれない。確かに気持ちのいい場所だけれど、もっと地に足の着いた素朴な雰囲気のところが好きだ。例えば台東区とかね。
午後もアップダウンに苦しめられつつニースに到着。ここは旧市街の中を少しだけ走ってみる。
今のところイタリアとそれほど変化は無いように見える。国境からも離れてないし地中海沿いは似た雰囲気の町が続くのかも。
ここからは海沿いにサイクリングロードがあり、しかもアップダウンが終わってほぼ平坦なので快適に進む。
途中で黒人の男の子二人組みに石を投げられた。やんちゃな感じの二人で、すれ違う前に一人が地面から何かを拾い上げていたので嫌な予感してはいたが、すれ違った後に近くに石が飛んできた。自転車を止めて振り返ると走って逃げていったが、追いかけて少し脅かすくらいのことはしても良かったかもしれない。ただの悪ふざけだろうけれど、そうでもしないと彼らはどこかで再び同じことをやるだろう。
(以下妄想)これはただの想像だけれど、彼らは恐らく移民としてやってきた人たちの子供だろう。治安や経済の影響で右傾化が進み移民への風当たりが強まっているであろう欧州でそういう事を続けてるとどんどん“嫌われ者”になって肩身が狭くなってくると思うのだ。まあ普段彼らがどういう風に生きているのか知らないけれど。(妄想終わり)
余談だが、フランスではフランス国籍保持者はその民族的出自に関わらず「フランス人」としてみなされるらしい。……国籍を持っていっればそれは当たり前といえば当たり前なのだけれど、つまり何が言いたいかというと「フランス人」という括りは民族をあらわすものではなく、どちらかというと「フランス市民」というニュアンスのようだ。もしその感覚がフランス人の多くに浸透しているのであるとすれば、それって結構すごいことだと思う。バルカン半島では南スラブ系の民族たちが宗教以外には大きな違いが無い(多分)にも関わらず、あれだけの民族紛争を繰り広げていくつもの国に分裂したというのに。
【今日のピクトさん】
ボンバヘッド!
地図を見て予想はしていたが、延々と郊外が続き、海岸はどこもうんざりするくらいの人だらけ。とてもキャンプをする気にはならない。
それはこの先もしばらくは続きそうなので、少し早いが地図で見つけたキャンプ場に行くことにする。
スーパーで買い物を済ませてキャンプ場へ行くと、いわゆるオートキャンプ場だった。週末だからかキャンピングカーで混雑している。ここも趣のあるキャンプが出来るような感じではないが、一応値段を聞いてみると8.5ユーロ。周囲を森林公園に囲まれていてそこでいくらでもキャンプできそうなので(実際にはキャンプ禁止で人も多いので微妙だけど)、わざわざこんな騒がしいキャンプ場に8ユーロも払うのは高く感じる。
なので近くに他のキャンプ場もあったのでそちらも値段を聞いてみる。しかし20ユーロととんでもなく高いのでパス。すこし山側に入って野宿できないか探ってみたが、どこも建物があってちょっと見つかりそうに無い。諦めて最初のキャンプ場に戻ることにする。
まあ安全にキャンプできるなら8.5ユーロくらい仕方ないと思って受付をしていると、渡されたレシートには18.5ユーロと書かれている。えっ?
どうやら聞き間違えていたらしく(前日が8ユーロだっただけに同じと勘違いしたのかも)、今更断るのもアレだったので諦めて泊まる。ここはシャワーはあるがWifiは有料、電子機器の充電は機器を預ける必要がある。なんだか昨日より微妙な条件なのに2倍以上の値段だなんて。とりあえずスマホだけ預けて充電してもらう。
これが18.5ユーロのサイト。
確かに日本でもオートキャンプ場は高いからこれくらいの値段も仕方ないのかもしれないけれど、普段0ユーロでやっているキャンプに18.5ユーロを払うのはアホらしすぎる。もし高い金を払っただけキャンプが快適になるならまだ良いが、やる事はいつもとほぼ同じでメシ食って寝るだけである。アホらしすぎて気絶しそうだ。
テンション下がりつつもテントを張り、先にシャワーを済ませる。幸いここのシャワーはお湯を好きなだけ使えるので良かった。もう湯冷めとか気にせず頭も洗う。
食事の準備をしてから受付にスマホを取りに行ったら営業時間を終えて締まっていた。えぇっ!?
インターホンがあったので聞いてみると、明日の朝にならないと開けてくれないとの事。それならそれで始めに言ってくれよ。これでは地図が無い(紙の地図を買ってない)ので明日のルートも練ることが出来ない。なんだかなぁ。
夕食はいつも通りのスープスパゲッティ。それと鶏肉を買ってみたので一緒に煮込む。
豪快な見た目に。薄明かりの中で肉に齧り付く男の姿はさぞ不気味なことだろう。
今日はもう飲むしかないのでビールとロゼを空ける。
あぁ、もうそろそろ人のいないところを走りたい。中央アジアとかトルコが懐かしいな。
【イタリア滞在費用】
滞在日数:16日間
総支出:617.57ユーロ=約83372円
一日平均支出:38.6ユーロ=約5211円
ちょっと卒倒してしまいそうなほど高くついた。宿だな、宿に泊まりすぎ。もっと野宿しないと……。
【走行データ】
走行距離:72km
総走行距離:15047km
イタリア内走行距離:799km
怒涛のブログ更新ですね!あっという間にフランス入国ですか!
アジア編と違って安心して読んでいられますが、
やっぱりアジア(はじめのころ)のほうが、ビビりながらも
楽しんでいる雰囲気が伝わってきますよ~
すっかり旅慣れてしまったからかもしれませんね!
残りもう少し、頑張ってください(リアルタイム風に)
そうなんです、まずこれを片付けてから動き出そうと思ってるので、時間のあるときはひたすら更新してます。
あー、やっぱりそうですかねぇ。確かにおっしゃる通りの状況です。(笑
でもこの先スペインも楽しみにしてるので、がんばります!(リアルタイム風に)