4/13 Tarragona→el Perello近辺 (68km) ―野宿旅以上にワイルドな生活―

 
ドミなので部屋の他の人の起床に合わせるように8時頃まで寝る。まあもちろんそんなの気にせず動き出してもいいのだけど、なんとなくね。

9時からの朝食を食べ、ユウタくんと話したりネットをしたりしつつ11時ごろに出発。

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彼が乗る自転車はSurlyというメーカーのもの。自転車旅行者の間ではそのSurlyのロング・ホール・トラッカーというモデルがド定番だが、彼のはトロールというモデルだそうだ。ディスクブレーキだったり、トゥークリップが金属製だったりして格好良い。

また彼が撮る写真は人との距離が近く、僕が撮りたいと思ってもなかなか撮れずにいる写真。こういうのも才能だよなとつくづく思う。

まだまだ先の長いユウタくんの旅。僕みたいに後半でダレることなく、最後まで満喫して楽しんで欲しい。
 
 
 
ユウタくんと別れてから、町を出る前に大聖堂に行ってみる。

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最近流行り(個人的に)のガーゴイル観察。

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入場料は5ユーロ。ここは結構すみずみまで見学できて面白かった。資料室や宝物庫に展示してあるものも見ごたえがある。

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壁の装飾に鉤十字が使われている。鉤十字というとどうしてもナチスを連想するが、もちろんそれより遥か昔から使われてきたシンボルなのだろう。また、日本でも見られる「卍(まんじ)」は仏教やヒンドゥー教で使われてきたようで、面白い共通点だ。元々は同じルーツなのだろうか?

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悪魔を膝で押さえ込んで今にも突き刺しそうな天使(大天使ミカエル?)の笑顔が非常に怖い。

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今まで悪魔の姿を表すものはあまり見なかった気がするけど、ここではよく見る。

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結局1時間ほど見学してから走り出す。といってももう空腹になってきたので、バルでサンドイッチをテイクアウト、GSで冷たい飲み物を買って、町外れのベンチに座って食べる。

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午後になってようやく進みだす。工業地帯と新興住宅地を抜けて、ビーチリゾートへ。マイアミってこんな感じだろうか。

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すぐに飽きる。サイクリングロードを走るが狭くて走りづらいので車道に戻る。

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次第に田舎になってきた。昨日より町が少なくて、野宿場所はいくらでもありそう。

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多少のアップダウン。横風が吹いていてペースはイマイチ。

夕方にel Perelloという山の中にある小さな町に着く。

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ここで買出しをして、町を出てからキャンプしようと思いスーパーへ。

エスカルゴ発見。買わないけど。

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スーパーで買い物をしていると若い女性に話しかけられた。なんでもTarragonaで僕のことを見かけたらしい。それで、家があるこの町に戻ってきたらまたしても僕に遭遇したので思わず声をかけたのだそうだ。旅のことを少し話したら応援してくれて、後からやってきた彼女のボーイフレンドと共に「今夜はうちにこない?」という話になった。ここから1000mくらい離れたところの山の中に家があって、そこの庭にテントを張らせてくれるという。

気楽なキャンプで夜を越すつもりだったので少し悩むが、折角なのでお世話になることにした。悪い人たちではなさそうだったし。
 
 
 
買い物を終えて彼らの車についていく。そうしたらこの道が大変だった。確かに山の中にあると言っていたのである程度の道は覚悟していたが、ガタガタの未舗装の上に結構な登りである。「『1000m』って標高のことじゃないよな」とか「このまま山の中で殺されて埋められたら誰にも見つけてもらえないな」とか「こんな山の中に住むなんて、隠れてヤバイものでも栽培してるんじゃないか」とかネガティブなことが頭をよぎる。

着いてみるとそこは山の斜面に広がった古いオリーブ畑の中に立つ山小屋のような家だった。

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えらい所に来てしまったと思いつつも自己紹介をする。二人の名はロレーナとダニー、そして山道の途中から迎えてくれた犬のフライ。ロレーナは英語が少し話せるがダニーはあまり話せないようだ。

彼らは都会の喧騒を離れて、ここで自給自足のような生活をしようとしているらしい。ヒッピーみたいな感じだろうか。オリーブ畑の中に色々な植物が植えてあって、その菜園を見せてくれる。

この時点で嫌な予感はしていたのだが、そのなかにマリファナがあった。「日本ではマリファナはダメでしょ? でもここじゃ大丈夫なのよ」と明るく説明するロレーナ。ホンマかいなと思いつつも、今更逃げ出せる雰囲気でもない。

しかし実際のところ、2人からは特に危ない感じはしないので、とりあえず様子を見ることにする。

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ダニーは言葉はほとんど通じなくても熱心に菜園の説明をしてくれる。スマホのGoogleトランスレーターを使いながら植物の名前を教えてくれる。そこには色々なハーブや野菜が植えられている。ここは元は恐らく放棄されたオリーブ畑だったのだろう。3年前に彼らがやって来て、自分達の手で荒れた畑を手入れして住めるようにしたらしい。ここは電気も水道も通ってないが、雨水を利用した貯水池や、車のエンジンからバッテリーに電気をためて使っているそうだ。小屋の中には薪ストーブ、外にはお手製のシャワー室。このシャワーは太陽光を利用してお湯を使えるようにする予定だという。

他にも色々と生活の工夫なんかを見せてくれた。ここまで色々と話した時点で、どうやらこの人たちは大丈夫そうであると判断し、やっとテントを張る。
 
 
お利口なフライ君。

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でも時々奇行に走る。

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ビールはバケツに張った水で冷やす。

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炭火でハンバーグを焼くダニー。

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ロレーナが用意してくれた夕食を食べながら楽しく話をする。お互いつたない英語だが、一生懸命伝えようとするし理解しようとしてくれるので話していても楽しい。

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ロレーナはプールの清掃の仕事をしていること、ダニーは11歳の頃から親に働かされてずっと整備士をやっていたが、仕事の大変さのわりに給料が安すぎてやめたこと、スペインには仕事があまり無いということ、この辺は夏はほとんど雨が降らないから溜めておいた雨水がとても貴重だということ、そんな色々なことを話してくれた。

ダニーは整備士のころのことを話してくれて「整備士の月給は1500ユーロだったけど、ウエイターは1800ユーロももらえる。でもウエイターは皿を落として割ったところで何の問題も無いけれど、もし整備士がブレーキの整備不良を起こしたら人が死ぬんだ。」と言っていた。僕も学生の頃にバイク屋でアルバイトをしていたことがあるので、ダニーの言うことはよくわかる。僕はその責任を背負って仕事をする自信がなかったから、機械いじりは好きだったが結局整備士にはならなかった。ダニーも同じように感じて、今は別の生き方をしているのだろう。

この話をしてくれて、ようやく僕は二人に対する警戒を完全に解くことが出来た。

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日が暮れて気温が下がってきた。完全に暗くなり、綺麗な星空が見え始める夜遅くまで話は続いた。
 
 
 
【走行データ】
走行距離:68km
総走行距離:16043km
 

カテゴリー: スペイン(Spain) タグ: , , パーマリンク

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