寝ている間にロレーナは仕事に行ってしまったようで、別れの挨拶はできなかった。
朝食を済ませて出発の準備をする。今日はこれからダニーと一緒に少しだけ自転車で走ることになっているので、ダニーの作業が終わるのを待つ。
ダニーは生活を便利にするために自分で工夫して作ったもの（例えば太陽熱を利用してお湯をつくるシステムとか）を嬉しそうに見せてくれる。そして「次はここをこうする計画なんだ」と色々な考えを話してくれる。
「君は日本に帰ってから計画している事はないの？」と聞かれ「まだ決まっていないんだ」と答えると、「旅で見てきたものを日本に持ち帰って仕事にすればいい。僕はアジアを旅したときにはとても多くのものからヒントをもらった。」というようなことを話してくれた（なにせスマホの翻訳機を介してなので正確ではないが）。
確かにそれが出来ればいいのだが、なかなかそう上手くは思いつかない。さて、日本に帰ったら何をしよう？
11時ごろに出発。ダニーはMTBだ。
フライはお留守番。出かける間は家に入れられるらしく、それを嫌がってなかなかダニーの方に行かないのが可愛らしかった。
出発直後はキツイ登りだが、MTBで走れば楽しい道だろうなと思う。未舗装路を走るというのはなんとも面白いものだ。
町に戻ってからは幹線道路を外れて海沿いの道を行く。この辺は海沿いは崖になっていて、道は凶悪なアップダウンが続く。
しばらくすると平地に出る。ここから少し寄り道。Deltebreという町の周辺はEbre川の河口の堆積作用でできたデルタ地帯が広がっている。ダニーによるとここはスペイン一のデルタ地帯（「スペインで最大」なのか「スペインで唯一」なのかは不明）で稲作が盛んなのだそうだ。
Deltebreの手前まで来たところでダニーは時間がなくなってしまってお別れ。ダニーの家に着いた当初はどうなることかと思ったが、なんだかんだで楽しく過ごせた。ありがとうございました。
この先にある、海に飛び出た砂州の半島に行くことをダニーに勧められたが、結構遠いようなのでパスする。あくまで予想だけど、多分湿地や干潟が広がっている景色が想像できるので、わざわざ行く気が起きなかったのだ。
Deltebreのスーパーで買出しをして、Ebre川にかかる橋のベンチで昼食。
このハムはなかなか美味しかった。原材料表記の欄に「豚の鼻」というようなことが書いてあって（正確には違うかもしれないけど）、少し臭みがあるがそれがまた良かった。それとキッシュのようなものも食べる。
今日は少し向かい風。デルタ地帯を抜けるのに苦労して、延々と田んぼの中の道を走り続ける。
メインのルートに戻る。今日は妙に疲れているし、出発も遅かったので距離を稼ぐことは諦める。周囲はオリーブ畑やオレンジ畑が広がっていて、キャンプ適地もあまりなさそう。もう少し進んだところにあるキャンプ場を覗いてみよう。
最近見るようになったゴミ箱。地下に埋まったボックスごと吊り上げて回収する仕組みのようだ。
州境にある川を渡ってカタルーニャ州からバレンシア州に入る。
そういえば今朝、ダニーが「今日がカタルーニャ最後の日だね。バレンシアに入ったら言葉も変わるね」と言っていた。
スペイン語は地方の方言によってかなり違いがあるらしい。ロレーナによればカタルーニャの学校では「スペイン語（標準語）」と「カタルーニャ語」の二言語で授業が行われるそうだ（それと「外国語科目」として英語かフランス語）。そしてそのスペイン語とカタルーニャ語はその授業を受け持つ先生によって代わる（つまり例えば同じ数学でも担当教師によって言語が代わる）らしい。えらく大変そうな学校生活だ。
18時前に目星をつけていたキャンプ場に到着。値段が高いようなら他の場所に行くつもりだったが、Wifi付きで8ユーロだったのでここに泊まることにする。
このキャンプ場は個々のサイト毎に水道と電源があって便利。トイレは綺麗だし、シャワー室も広くて使いやすい。これなら8ユーロでも納得かなと思いつつも、スペインに入って安いホステルなら同じくらいの値段（あるいはそれ以下）で泊まれることを考えると微妙なところだ。まあホステルのドミトリーよりキャンプのほうが気楽とも言えるけれど。
シャワーを浴びてから近くのスーパーに行き、冷たいビールを買ってくる。夕方になって曇ってきてしまったが、快適なキャンプ場でビールを飲みながら料理をするのはなかなか幸せな気分。
夕食は生スパゲッティを使う。でも量に対して鍋の容量が足りなくて、湯で加減はイマイチ。
今日はあまり進めなかったので、ヴァレンシアまではまだあと2日はかかりそうだ。明日は天気もあまりよくなさそうなので少し面倒に感じる。
【走行データ】
走行距離：69km
総走行距離：16113km
