セントラルヒーティングが切れていて部屋が寒い。エアコンもあるにはあるのだが、パワーが弱くて効果が薄い。まあ寒さは何とかなるとしても、洗濯物が乾いてないのには困った。
結局、乾いていない洗濯物はメッシュの袋に入れて自転車の荷物の上に積む。これで1日走れば乾くだろう。
今日はアルバニア入国を目指すが、まずは昨日の心残りのモスクを見に行くことに。しかしビザンティン博物館の隣にあるモスクは内部の展示を改装中らしく、結局中には入れなかった。
城内北側にあるアスラン・パシャ・モスクは開いていた。昔の砲弾がゴロゴロと乱雑に積まれているところに自転車を置いて中に入る。
ここはどうやら市立博物館になっているらしく、2ユーロを払って入場。
内装は結構地味な印象。アリ・パシャはかなりの力を持った領主だったようなので豪華な内装にしようと思えば出来たはずだが、アリ・パシャがアルバニア人であることや、時代の背景が影響してるのかも。
展示は当時の銃刀、伝統衣装、工芸品、さらにヨアニナのシナゴーグ(ユダヤ教会)に関する品が置いてある。
↓ユダヤ教関連の何か
さて、もう思い残すことは無い。10時過ぎ頃に出発してアルバニアを目指す。
ヨアニナの町外れで自転車屋を見つけたのでよってみた。最近、前輪のハブ(車軸)にガタが出てきていて、それを調整するのに5mmの6角レンチが2本必要なのだが、1本しか持っていなかったのでどこかで買おうと思っていたのだ。
その自転車屋には工具は売っていなかったが、すぐ近くの工具屋を紹介してくれて、そこで無事に購入。5mmの6角レンチ:0.8ユーロ。
なんだかんだで時間が遅くなってしまった。次の目的地、アルバニアのジロカストラまでは100km弱。今からだとたどり着けるか微妙な距離だ。しばらくは平坦な道を進む。
峠を下ると小さな町がある。国境まででこれが最後の町らしい町だろう。ここで念のため野宿に備えて買い物。
国境までは山間の道を進む。
そしてなぜか山の中にF-104。
国境を越えるときはいつも「やり残した事がないか」とか「宿に忘れ物をしてないか」とか心配になるが、細かい事は考えずに車と同じレーンに並ぶ。
イミグレの職員はにこやかだった。「自転車で日本から来たの? すごいね!」と驚いてくれて、気持ちよくスタンプを押される。ゲートを通り免税店エリアのGSの横を通り過ぎたときに、店員から「がんばれ!」と良い笑顔をもらった。悪くない終わり方だ。
ギリシャ内の走行距離は840km。
国境を越えてアルバニア側のイミグレへ。車列に並んでいると物乞いの子供が2人(兄妹?)がやってきた。肌は浅黒く、服は汚れでテカっている。入国する前からアルバニアの貧しい一面に触れてしまった。列の前で入国手続きをしている人たちもなんだかガラが悪く、若干の不安を覚える。
バルカン半島といえばやはり紛争のイメージがついて回る。そしてそのイメージから「民族浄化」というおぞましい行為を思い出さずにはいられない。
アルバニアはユーゴスラビアの諸紛争の当事国ではないが、武器密輸やそれに伴うネズミ講の流行と破綻、暴動、混乱と、暗い話には事欠かない。それにコソボ紛争は旧ユーゴスラビア(現セルビア)領内のアルバニア系住民の独立を巡る戦争だから、やはり色々と確執は有りそうだ。
しかしもちろん、不安だけを持ってアルバニアに入るわけではない。むしろアルバニアは楽しみでもある。ギリシャで会ったサイクリストも、アルバニアの人たちはとてもフレンドリーだったと言っていた。そこには、先進国には無い素朴さや優しさがあるのではないかと期待している。
物乞いの子供にはお金はあげないが、お菓子を分けてあげたらニコっと笑顔が返ってきた。(それにしても両国のイミグレ間の緩衝地帯に子供が勝手に出入りできることに国境管理に対する不安を覚えないでもないが)
入国審査官も反応は悪くない。2,3質問を受けて、簡単に入国。因みに、ガイドブックによると入国時にビザ代わりの10ユーロが必要と書いてあったが、それを要求される事は無かった。制度が変わったのか?
ゲートを出たところで両替。とりあえず100ユーロ分をアルバニア・レクに。ここのレートは1ユーロ=138レクだった。前日に調べた為替レートが1ユーロ=140レクなので、そんなに悪くないのかな。因みに1レク≒1円(約0.97円)なので計算が楽だ。
国境を越えると川があって、とても綺麗な水が流れている。ここは左右を高い山脈に囲まれた広い谷で、きっと水の豊かな土地なのだろう。水が綺麗だとそれだけでここを気に入ってしまう。
さて、ここからジロカストラまでは30km弱。明日に残すには微妙な距離なので、ここは頑張って今日中に走りきってしまうことにする。
18時過ぎにジロカストラに到着。ジロカストラは急斜面に張り付くようにしてある街なので最後の最後にきつい登り。
事前に調べておいたジロカストラの最安宿と思われるHotel Sopotiへ行ってみる。ここは個室が7.5ユーロ(もしくは1000レク。ネット予約より安い。)なのだが、ネットと暖房が無いという。宿の主人は良い人そうだったが(日本人だとわかると旅行者が置いていったと思われる折鶴を見せてくれた)、暖房が無いのはきつそうなので別を探す。
そこのすぐ近くにあるHotel Relaxが、トイレ・シャワー共同のツインが20ユーロ。2泊すると言って値切ると15ユーロになったのでここにする。朝食付き。
夕食はすぐ近くのレストランへ。伝統料理らしいナスの煮物と山羊のチーズ、そしてアルバニア産ビール。計750レク。
コチャ。ちゃんと麦の味がして美味しい。ヨーロッパのビールらしくなってきた。
宿に戻ってシャワーと洗濯。明日は観光と自転車の整備をするので、今日中にブログは書いてしまおうと思ったが、睡魔に襲われていつの間にか寝てしまっていた。
【ギリシャ滞在の支出まとめ】
物価高のヨーロッパに備え、今更ながら毎日の支出を記録することにした。そのまとめ。
総支出:475.83ユーロ
滞在日数:18日間
平均支出:26.435ユーロ/日
それなりにキャンプしたわりには結構な支出になってしまった。まあメテオラのカランバカで天気のタイミングが悪くて閉じ込められたし、それ以降も宿に泊まってたから当然か。一日平均の支出を20ユーロ位に抑えられると良いのだけど結構厳しそうだ。
出だしからちょっとヤバイ。
【走行データ】
走行距離:94km
総走行距離:12849km
ギリシャ内走行距離:840km