6時起床。晴れている。
トイレに行くと子牛がいて、駆け足で小屋に入っていく。昨日はいたニワトリが今日は見えない(鳥インフルエンザとかどうなんですかね)。トイレから出るとさっきの子牛が小屋から出てきて、好奇心旺盛なのか小走りにこちらに向かってくる。2m位の距離までくると止まるんだけど、子牛とはいえ結構な大きさなので油断できない。朝からスリリングなトイレだ。
ネットも無いし、たいしてやることは無いのになんだかんだ出発は9時。
天気さえ良ければ気分が良い、そんな単純さが自転車旅行の良いところ。日差しが強く気温は思ったほど低くはないが、走ると風が心地よい。
出発から数分で村を囲むトウモロコシ畑が途切れ、そこから先は見渡す限りの荒野だった。
これは凄い。おおっ、と思わず声が出る。
左手には山脈、右手には荒野、そして遠くに低い山が見える。そんな道を最初は下り、再び登り。出発から1時間走って後ろを振り向くと、今朝の村がまだ見える。
これだけ見晴らしが良いと数キロ先の車の有無がわかるので、用を足すのも気軽にできます。
途中いくつかの集落を過ぎ、昼に清水という町に着く。最近、浜松ネタが何度か出てきているけど、ここも決して静岡県とは関係ない(と思う)。
中国では良く見るけど、同業者が隣で商売している。片方の店にはアイスがなく、もう片方の店には冷たい飲み物がなかった。どちらか片方が両方揃えたら相手の客を奪えそうだけれど、「仲良くやってる」ってことなんでしょうか。
町を出てすぐに、旅に出て以来探し求めていたものと出会った。
それは、
伝説の剣 棒です。
つまらんネタ仕込んですみません。
これはこう使う。
自転車のスタンド。
そしてもうひとつの役目、野犬対策の武器でもある。
自転車旅行者にとっての脅威である野犬、というか狂犬病。狂犬病の犬に噛まれたら命にかかわる。狂犬病のワクチンは日本で打ってきたが、それでももし狂犬病の犬に噛まれたらその日のうちに追加のワクチンを打ち、その後も日をおいて追加ワクチンを接種する必要がある。
そんな事態にならないために対策が必要だった。もし犬に追われても(野犬だけでなく、牧羊犬なんかは追ってくるとらしい)重量級の自転車で逃げるのはまず無理だろうから、武器で迎え撃つしかない。自分は犬好きなので本当は棒で殴りたくなんてないけれど、そうも言っていられない。棒で殴られても犬は死にはしないけど、こちらは噛まれたら死の危険があるのだ。
そんなわけで出発して以来、適度な木の棒を探しながら走っていた。これがなかなか良い棒がなくて、今回見つけたそれも少し細く、しかもまだ生の枝なので自転車のスタンド代わりにつっかえ棒にするとしなって折れそう。まあ、しばらくはこいつで様子を見ましょう。
願わくば、こいつがスタンドとしてだけ役目を終えることを。
話を戻して、今朝と同じように町を囲む畑を抜けるとまた荒野。しかし今朝より砂漠感が出ている。これはもう礫砂漠とか、そういう一種の砂漠といって良いのかもしれない。
遠くで小さな竜巻が生まれては消えるのが見える。なんだか凄いところまで来てしまったなぁ。
それにしても暑い。強い日差し。15時、16時くらいになると気温も上がってきてしんどい。これは熱中症にはよっぽど気をつけないといけない。
17時に酒泉の町の入り口に到着。宿探しを始める。しかしここからが大変だった。
今日はシャワーを浴びたいし洗濯もしたいから、それなりの設備がありそうな賓館をメインに回る。数件回って60元でボチボチの部屋があったのでそこに決めたが、いざパスポートを出すと外国人は駄目。その後も何軒か回るがどこも外国人は駄目。そしてどこも「酒泉賓館」へ行けと言う。この町は公安が厳しいのかかなり徹底してる。諦めがちに酒泉賓館に行ってみるが、実に立派なホテルでひるんでしまい、駄目もとでもう一軒別の賓館に入ってみる。でもやっぱり駄目で、ここでも「酒泉賓館」と言われたのでもう諦めた。この時点でもう19時。クタクタだ。
ここまでくるとこの町の公安と酒泉賓館が癒着してるのかな、とか勘ぐってしまう。
いざ酒泉賓館に行って最安の部屋を聞いてみると、意外と安い120元。いや、高いことは高いんだけど、もっと高額を想像してたので少し安心。立派なホテルらしく6階の部屋まで荷物を運んでもらう。部屋も当然綺麗。冷静に考えればこの部屋に120元=約2000円で泊まれるんだから、それはそれで日本に比べればやっぱり安いよなとは思う。今の自分には高いんですけどね?
駄目だろうとは思いつつも笑いながら値切ってみたら、笑いながら断られた。ここは値切るような奴が来る所ではない。
もうグッタリと疲れてしまったので夕食は散財する。腹ごしらえに麺を食べ、デザート兼朝食用に葡萄を買い、牛肉の串焼きと冷えたビールを買って部屋に戻った。
でもそしたらカードキーのエラーで部屋のドアが開かない。面倒臭いがエレベーターで降りてレセプションに向かい(泊まったのは別棟なので少しだけ遠い)、カードキーを交換してもらったがやっぱり開かない。ああ……。
せっかくの冷えたビールが、焼きたての串焼きが、とイライラしながら再びレセプションに向かう羽目に。結局その後も開かなくて、マスターキーみたいなのを使って開けていた。どうも割とよくあることみたいで、ホテルの人もカードキーの電子チップのところを指で擦ったりして色々やっていた。
中国の宿は結構カードキーが多いが、今までに一度もこんなことはなかった。なのに今までで最も高級なホテルに泊まったらこんな自体に。なんだかねぇ……。
昨日と言い今日と言い、終盤にどっと疲れる展開だ。
【走行データ】
走行距離:115km
総走行距離:4058km
やあ楽しそうだな
かなり筋肉ついたんじゃね
まあがんばれ
筋肉は大して付いてない気がするな。
その気の抜けるような応援が良い感じです。
どうもありがとう。