6/29 ?→天水 (99km) ―公安局見学―

夜中に何度も目が覚める。枕が硬くて寝心地が悪い。こんな夜中の山道でも時々車が通る。明かりなんてろくに無いから自殺行為に思える。今にも壊れそうなシーリングファンが煩くて、雨が降っているかはわからない。

朝、明るくなってから起きると晴れていた。よかった。

↓宿の裏手にある集落
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朝食は手持ちのクッキーで済ませて、8:30に出発。宿の人は不在だったので黙って出てきた。鍵ももらってないしデポジットも預けていないので問題ないでしょう。多分、もう農作業に出てしまったのだ。宿は片手間でやっているようだった。

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雨上がりのせいか標高のせいか、空気が澄んでいて気持ち良い。日差しは強いが空気はひんやりとしている。こんなに澄んだ青空とクッキリとした雲は中国に入国して以来初めてだ。アップダウンが多い上に向かい風だけど、気分は上々。綺麗な景色を眺めながら進む。

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時々集落はあるものの目立った商店が無い。朝食がしっかり取れなかったので、クッキーとか飴を食べながら進む。
出発して1時間程で集落、というか通り沿いに店が何軒か並ぶ場所に着いた。看板を見ると「三岔」。昨日の目標にしてた街だ。どうやら昨晩泊まった所は別の集落だったようだ。しかし、いざ着いてみると宿が無い。昨日もしここまで来ていたら途方に暮れていたかもしれない。

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↓胡椒? 道に広げて乾燥させているようだ。
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昼食は途中の集落で煮込み麺みたいなもの。できれば冬に食べたいような熱々メニューだけど、贅沢は言ってられない。他には無さそうだったし、昨日からあまりろくなものを食べてないから出来るだけカロリーをとらないと。

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↓緩やかな山の斜面は農地になっているようだ
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午後には河沿いを離れて峠越え。天水の街への最後の登り。300m位の登りでピークの標高は1300mだった。

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↓峠を越えた先の風景
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峠を越えてからはまた河まで下り、そのあとは平坦な道。高速道路に迷い込んだりしながらも、夕方には天水の街について宿探し。結構大きな街だから宿も高そう。何軒かまわってから、「招待所」(という宿のランク)に入ってみる。レセプションには学生っぽい若い男女が。明日は休息日にしようと思っているのでネットが出来てトイレ・シャワーつきの部屋を見せてもらうが98元と高い。悩んでいると最終的に80元まで下げてくれて、それでも高めだけどここに決めてしまう。

例によってパスポートを見せた時点で初めて外国人とわかったらしい。そういう宿は今までにも結構あった。筆談しかできないのに中国人だと思われてたということは、やはり「中国語」と一口で言っても地域によっては会話が通じないくらい違いがあるということなんだろうな。

 
部屋に荷物を置いて着替えようと思っていると、レセプションにいたうちの一人の若い女性(この人は英語が少し出来た)が「問題がある」と言ってきたのでレセプションに行くと、公安に出す外国人登録で苦戦しているようだった。「なんだ、いつものことか」と思ってパソコンの入力フォームの項目を埋めるが、なぜか上手くいかない。「出生年月日宿」の欄に問題があるらしいのだが……、試しに今日の日付を入れてみて笑いあったりしていた。その後も宿の主人と思しき人も現れてしばらく頭をひねっていたが、上手くいかないので最終的に公安に一緒に出向くことになった。む、これは面倒臭いことになった。

しかしまあ、こうやって外国人登録のシステム自体は入ってるわけだからこの宿には泊まれるだろうし、公安に行くのも話しの種になって面白いかも、と楽観的に考えた。とりあえず貴重品だけ持って、宿の主人と通訳代わりにさっきの女性と三人で電動スクーターに乗って公安へ。当然ヘルメット無しの3人乗りである。恐ろしいなと思いつつも、写真を撮ったりして密かに楽しむ。

↓まだ余裕の表情
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公安についてから宿の主人と、どうやらその公安局の偉い人と思われる人が話す。その人は私服だったけど、態度のでかさでなんとなく責任者とわかる。顔つきも性格があまり良く無さそうだし、どうも雲行きが怪しくなってきた(これは偏見かもしれないけれど、やっぱり「人相」には人の内面が出ると俺は思っている)。女性に通訳してもらうと、あの宿は外国人は泊まれないから、公安が紹介する別の宿に移る必要があるらしい。値段を聞いてみると240元。

240元!

冗談じゃない。240元といったら宿代を含めた2日間の生活費をまかなえる。80元で快適に夜を過ごせるのに、そんなもの払ってたまるか。どうせその宿と癒着してるんだろう!などと思う。頭にくるが、もはや馬鹿らしくて笑いが出てくる。

そんな金を払う余裕はないし公安の言いなりになるのも嫌なので、「高すぎる!そんな金はない!」と言う。そうしたら「じゃあ200元だ」と言われる。なんでここで値引き交渉をしなきゃならない。そもそもこの人が値段の調整をしてる時点で何かおかしいだろう。
200元でももちろん高いので、「それならこの街を出て他の町に行く」と言うが、それも駄目だと言われる。まあ、外国人をウロチョロさせずに監視下に置いておきたいからこうしているのだろうから、いまさら「わかった」と解放はしてくれないだろう。
でもこちらも譲らずにいると、しばらく待たされて100元の宿を提示された。「政府賓館」という名からして国営の宿なのだろうか。ていうか、そんな所があるなら最初からそっちを紹介しろよと思う。これ以上粘ってもこの女性と宿の主人に迷惑がかかるだけだろうし、これで同意する。

公安のパトカーに乗って宿に荷物を取りに戻り、そのまま政府賓館へ。まさかこの旅でパトカーに乗ることになるとは思わなかった。最後に、面倒な仕事をさせてしまったさっきの女性にお礼を良いに行く。「公安は嫌いだけど、あなた達のことは好きだよ。どうもありがとう」と。日本語で書くとえらい気障な感じだけど、ボキャブラリーが無い頭でとっさに考えたシンプルな英語で伝えた。

↓パトカーでも交通ルールとかはあまり関係ないようだ
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それにしても公安には困ったものだ。普段は交差点に立っても信号無視を注意すらせず、街角に止まったパトカーの中ではスマホをいじってるような連中がいる組織が、こんな時は真面目に仕事をするのだ。もちろん公安の中にも色々な人がいて、真っ当な人もいるのだろうが、いやはや……。

 
結局、その賓館に落ち着いたのは20時頃。実際に受け付けてみたら80元でラッキーと思ったが、パスポートは宿で預かってチェックアウト時に返すというので、「じゃあ夕食に出かけるときはどうするの?」と思うが、もう面倒臭かったので何も聞かずにパスポートのコピーを持って外出。

夕食は適当な店に入って水餃子を注文。22元という表示で高いなと思ったので量を聞いてみたが、よくわからなかったのでそのまま注文。料理が来てみると普通の量だったので、これじゃ足りないと思って「酸辣白菜」を追加注文。
でもそしたら酸辣白菜と一緒に水餃子がもう一皿出てきた。なにっ!

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なるほど、ちゃんと22元なりの量だった。でもそれなら同時に出して欲しかったな……。思い返せば、確かに店のおばちゃんは「一人で食べるの?」という感じの言葉を書いていた。料理を持ってきたとき、おばちゃんは「頑張って食べてね!」みたいな感じで笑っていた。でも、当然食べ切れなかったものの、持ち帰ることが出来たので明日の朝食にしようと思う。無駄にはならなかった。

 
嫌な展開になってしまったけれど、唯一良いことはこの宿のバスルームには湯船がついていることだ。1ヶ月以上風呂には浸かってないなと思いながらお湯をためると、薄っすらと茶色く濁っている……。ふむ、なんだか最後まで残念な一日である。

休みの予定だったけど、明日はもう別の街に移ろう。でもまだルートを考えてないし、どうするかなぁ。

 
【今日のビール】
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「黄河豪麦」
冷えていなかったのでいまいち評価できない。というか頭の中は公安に対する罵詈雑言で一杯だったのであまり記憶に残っていない。

 
【走行データ】
走行距離:99km
総走行距離:2904km

カテゴリー: ビール, 中国(China) パーマリンク

6/29 ?→天水 (99km) ―公安局見学― への0件のフィードバック

  1. takamushi akiko のコメント:

    毎日色んなビールが飲めていいね!!
    官僚はどこもしょうがない奴が多い、ってことの実地の勉強ですな・・・。
    一人旅なので、なるべく穏便に済ませて下さいね。残されてるみんなが心配するから・・・。
    天気と景色はいいみたい。楽しんで下さい。               <クマ>

    • shima のコメント:

      でもどのビールも大体同じ味です。
      まあ走った後は「冷えた炭酸」であれば大抵のものは美味しく感じます。

      そうですね、すみません。
      今回は面倒な出来事ではありましたが、身に危険が及ぶようなことではなかったので。

      気候は乾燥して、日陰なんかは実に快適ですよ。

  2. 匿名 のコメント:

    お疲れさま〜。長い一日でしたな。
    しかし朝出てきた町には、いったい誰のために宿があるのかな?
    そして、ノーヘル三人乗りは公安の取り締まり対象ではないのであろうか。

    • shima のコメント:

      まったくもって長い一日でした。
      朝出てきた宿は恐らく長距離トラックのドライバー向けなのでは?
      今となっては高速道路もできたし、車の性能も上がって、こんな中途半端な地点に泊まる必要も無くなった、と想像。
      ノーヘル三人乗りはみんなやってるし(五人乗りも見たことあるし、ヘルメットをかぶってるのは少数)、はっきり言えば公安だってルール守ってないし、そもそも法律で規制されてるかも怪しいところ。

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