目が覚めたら雨が屋根をたたく音が聞こえる。強風も相変わらず吹いていて最悪の状況。しかし結果的には昨日の夜はキャンプしなくて正解だったな。
出発する準備を済ませてから雨が弱まるのを待つ。しかし8時になると宿の主人がやってきて、「ギレスン(という黒海沿岸の町)に出かけて鍵を閉めてしまうから」と宿を追い出されてしまった。仕方ない、出発するか。
幸い、走り出すと雨はやんだ。しかしまたいつ降り出すかわからないので合羽を着たまま走る。
気温はそれほど低くは無いが、ここで汗をかいてしまうと一気に身体が冷えるので、出来るだけ汗をかかないように休憩を頻繁に取りながら上る。
疲れと強い向かい風のせいでなかなか進まない。何度も風に煽られてよろめきながら、歩くよりは少し早い程度の速度でゆっくりと進む。
後方は晴れてきたが、峠の向こうは黒い雲。
到着の余韻に浸るまもなく道路わきの建物からおじさんに声をかけられる。除雪車の基地らしい施設があり、そこの職員のおじさんたちに「とりあえず中に入れ!」と招かれて、彼らと一緒に昼食を頂くことになった。
ほうれん草と米のスープ、ピラフ、豆のトマト煮込み、アイラン(ヨーグルト)。図らずも立派な昼食をとることが出来た。
何が嬉しいって、国籍の関係無し(彼らは僕が日本人か中国人か韓国人かもわからずに声をかけたはずだ)に一人の旅行者として僕を歓迎してくれたことだ。中央アジアからコーカサスにかけて、中国人(あるいは東アジア人)に対する差別のようなものを時々感じながら旅してきたが、ここのおじさんたちからはそんなものを感じることはなかった。それがとても嬉しかった。
昼食を終え写真を撮ってから、彼らも仕事を始めるらしくこちらも出発する。この、手厚く歓迎してくれて、なおかつアッサリとした感じはとても好印象だ。こちらも気負わず、素直に好意を受けることが出来る。
峠の写真を撮ってから下り始める。気温は4℃位で、雪も積もってはいるが思ったほど寒くは無い。12月の2000m以上といえばもっと寒そうなイメージだったが、やはり黒海に近い山脈だからか。
↓昼食に招かれた施設
下りはあまり舗装が良くない。空は曇っているが、しかし雨が降りそうな感じではない。
次第に谷は狭まり、ごつごつとした岩が目立つようになって来た。
ここでなぜかショットガンの薬莢を拾う。猟銃用だとは思うが、それにしても動物なんていなさそうな駐車場に落ちていた。……トルコは意外に物騒?
13時過ぎにシェビンカラヒサルという町に着く。町の入り口のガソリンスタンドで調理用のガソリンを購入、3リラ。ここで今度はチャイを頂く。ここのスタッフも地図を見ながらこの先の町の状況を教えてくれたりして何かと優しい。
今日はこの町の宿に入ることにした。今から食料の補充をしたりしてると、日没までの残り時間は1時間半程度。この先もアップダウンがあるのでもうあまり進めなさそうだったので、今日は早めに休んでしまおう。
しかし見つけた宿があまり安くなく、一泊35リラ。やっぱり進んでキャンプしようかと思ったが、もう面倒臭いのでここに泊まる。
食料の買出しを済ませてからシャワーと洗濯。
トルコの地酒・ラクゥを買ってみた。甘い香りと味、そして強いアルコール。なかなか独特。これはそのままだと無色透明だが、水で割ると白く濁る不思議な飲み物だ。
今日は振り返ってみると距離的にはほとんど走っていないが、なんだか疲れたな。明日からもまだしばらく移動が続くから、しっかり休まないと。
【走行データ】
走行距離:37km
総走行距離:10374km